25:探す少女と拒む少女


「あ、リッカちゃん! どうだっ……。そ、そっか。」



思わず大きな声を上げるアカリだったが、リッカの顔を見てすぐに途切れ小さな声になってしまう。


彼女の眼前にいるのは、同じ意気消沈した顔で視線を地面へと落とす青龍リッカ。先日剣道場を訪れた際に手に入れた伝手をたどり、アカリ同様“ヒマ”について情報収集をしていたようだったが……、結果は芳しくなかった。いや正確に言えば、悪い情報しか手に入れられなかったようだ。幼馴染故に、彼女はリッカの感じていることをなんとなく理解してしまう。



「剣道部の先輩にも聞いたけど……、ヒマ先輩。学校にすら来てないみたい。」


「……そっか。」


「他にお家に聞きに行った人もいたみたいだけど、やっぱりお母さんずっと体調不良って言って取り合ってくれなかったんだって。メールも全部未読で、返事もなし。あの後先輩を見た人もいないみたいだし、やっぱり噂通り、行方不明の可能性が高そう。」


「……あの時、もっとちゃんと。私が。」



白虎ヒマ、ユアパールに変身していた彼女は先の戦闘後にどこかに消えてしまってから、その行方が分からなくなっている。その理由は、“蜘蛛”に対する認識の違い。アカリはあの蜘蛛が理由なく人を殺めるとは思わないと主張したが、ヒマは兄を殺されたと主張した。


もっと時間を掛けて話し合えばその誤解が解けたのかもしれないが、ヒマはアカリの言葉に激高してしまい、その場を離れてしまった。その場にダイヤはいなかったが、事態を重く見た二人は即座にパールの後を追い、“蜘蛛”に喧嘩を売る前に止め、ちゃんと顔を合わせて言葉を交わそうとしたのだが……。



(すぐに、あの手を掴めていたら。こんなことには……。)



途中で見失ってしまった後も一生懸命に探したのだが、専門的な知識を持たずパールより力の劣る彼女たちには発見することが出来ず、あの日はそのまま解散。学校でまた顔を合わせられるはずだから、その時に。そうお互いに言い聞かせて家に帰ったのだが……。


その次の日から、白虎ヒマが学校に来ることはなかった。学校側には体調不良という通達が為されているようだったが明らかにそれはおかしい。何せ彼女たちは何度かヒマの家に足を運んでいるのだから。



(剣道部の人たちに教えて貰って行ってみたけど。あの家に、先輩はいない。)



アカリは数年前にあった一件から、なんとなく“親”という存在が持つ“子”に対する感情を理解できるようになっていた。今は元通りにはなっているがリッカも一時期親との関係が悪化してしまったことから、そのあたりには敏感である。


だからこそ彼女たちは、ヒマの家から出て来た母親の顔。ヒマのことを話す母親が抱いていた“無”に近い感情、諦めの果てに辿り着いてしまった静寂というものを、強く理解してしまったのだ。たぶんあの母親にとって、ヒマ先輩は居ても居なくてもどうでもいい。その場にいれば最低限の責任は果たすが、居なければ何もすることはない。“愛”というものは存在しない、と。


これから理解できるのは、たとえ白虎ヒマが数日。数週間家に帰らずとも、家族が何かしらのアクションを起こすことはないということ。行方不明だったとしても、余計な面倒を避けるために『体調不良』でごまかしてしまってもおかしくない、と。



(何かヒマ先輩の家族にも理由があるのかもしれないけど……。今はそのことじゃなくて、ヒマ先輩がどこに消えてしまったのか。それを考えなきゃ。時間の許す限り、変身して走り回ってるけど……。先輩が動き回ってたら、私達二人だけじゃ一生見つけられないかもしれない。)



一度警察に行って調査をお願いした二人だったが、家族が無干渉の姿勢を崩していない以上彼らが動くことはなかった。けれど、彼らを責めることはできない。もしアカリたちが言い方や背後関係の情報を上手く誤魔化して警察に伝えれば動いてくれた可能性もあるのだが……。彼女たちは正直に『数日前から行方不明だ』と伝えてしまった。


彼らは“動くことが出来ない”。何せ彼ら警察にとって“行方不明”という単語は、“触れるべからず”を意味する言葉なのだから。アカリたちは知らぬことだが、この世界には数えきれないほどの秘密結社が存在しており、日々数えきれないほどの人がその素体として消えて行っている。


闇に手を出すと言うことは、単なる死を意味することではない。自分だけでなくその家族、周囲、そのすべてが狙われる可能性が出てくるのだ。現場も、上も、それを理解しているからこそ手が出せず、これを無視して飛び出せるような人間はすでに消えているか、戦士となって戦いに身を投じているかのどちらか。



(学校で噂されてる程度の話、信じて動いてくれるって言ってくれたのは師匠くらい。でも、師匠だけに頼っていられるわけじゃない。私達で先輩を見つけ出して、ちゃんとお話ししなきゃ……。)



「リッカちゃん、今日は南の方を探しに行こ。まだあっちの方はちゃんと調べられてない。」


「アカリ、悪いけど反対。むしろ本当に行く気なら、殴ってでも止めるわ。……貴女、最近本当に寝てるの?」


「……。」



リッカの追及に何も答えられないアカリ、それが答えだった。


アカリとリッカはまだ中学生。それゆえリッカの家には門限が存在しており、外出し先輩を探す時間は限られている。けれどアカリは深夜帯に家から抜け出し、一人で先輩を探しに行っているということが、ずっと付き添っている妖精のプルポからリッカに伝えられた。事実、アカリの睡眠時間はほとんど0に近い。顔に元気はなく、クマも出来てしまっている。今日の授業中も、大体うとうとするか突っ伏してしまっていた。



「……嫌なこと、言うわよアカリ。」


「…………うん。」


「先輩がいない以上、戦えるのは私達二人だけ。けど先輩が私達との“共鳴”を辞めちゃったせいでかなり弱体化しちゃってる。敵が強くなってきていている今、更に弱くなっちゃうようなことはすべきじゃない。」



自分も心では否定したいのだろう。苦しそうな顔をしながら、淡々を言葉を続けるリッカ。確かに“蜘蛛”や“九条恵美”の様な圧倒的強者、例外は存在している。けれどクライナーになった人たちを元に戻してあげることが出来るのはジュエルナイトである彼女達だけ。


そんな状況で無駄に体力と精神を磨り潰してまで先輩を探し、そんな弱った状態で強くなってきたアンコーポの襲撃を受ければどうなるか。考えずとも理解できてしまう。幸いなことに新幹部であるクラフトが現れたあの一件からアンコーポは出現していないのだが……。それがずっと続くとは思えない。



「今の私達二人じゃ、あの新型クライナーには勝てない。だからこそ早急に強くなる必要がある。幸いなことに私達には師匠がいる。全部伝えられているわけじゃないけれど、頼れて強い人が、強くしてくれる人が。……一旦先輩のことは頭の端に寄せて、対抗する手段を得るべきよ。」


「解ってるっ! それが正しいってことは! でも……。ううん、何でもない。」



思わず声を荒らげてしまうアカリ。リッカの言うことは理解できるのだ。自分たちしか守れないのであれば、先輩一人ともっと多くの人を天秤にかければ、後者に傾くということは。頭では、理解できる。けれど心は酷く反発している。……でも、リッカも同じ思いであることは、もっと強く理解できる。


彼女はアカリを諫めるために、あえて言いたくないことを言ってくれたのだ。


故に口から出かかった言葉を飲み込み、思わず天井を見上げる彼女。



「……わかった、今日はちゃんと帰って寝るね。プルポが、証人。」


「えぇ、それでいいわ。……今週末、師匠にお願いしてるでしょ? 明らかにあの時の先輩は今の私達よりも速かった。もし見つけたとしても、逃げられたら意味がない。ちゃんと“手”を掴めるように、一緒に強くなりましょう。アカリ。」


「……そう、だね。」






 ◇◆◇◆◇





そんな会話を彼女たちがする数日前のこと。



「……ぅ、ぅう。」



彼女の頬に風が当たり、意識が微睡から戻ってくる。白虎ヒマが、目を覚ました。


精神的、肉体的疲労が深かったせいか、まだ完全に意識が覚醒しきっていないようだったが……。なんとなく彼女は心で理解できていた。自分は勝てなかった。いやそもそも勝負にすらなっていなかった、と。


ユアパールの変身者である白虎ヒマは、この町を根城とする“蜘蛛”に勝負を挑み、何もできず、眠らされた。



(ここ、は。)



未だ重たい瞼を何とか動かしながら、周囲を見渡す。



(……蜘蛛の、糸。白一色。捕まった? ……でも、拘束されてない。それに……。)



視界一杯に広がる白。けれどほんの少し視線をずらしてみれば、灰色のコンクリートらしきものが見える。形状と、外から流れてくる風。おそらく場所は彼女の記憶が途切れる寸前まで“遊ばれて”いた廃ビルのどこか。そして彼女がいるのは、そんな朽ちゆくビルの一室に作られた、真っ白な寝台。


見た目から蜘蛛糸で作られているのは理解できるけれど、何故か信じられない程に寝心地の良かったそこから起き上がったヒマは、自分の体を確認する。殺されもせずに、拘束もされていない、確かにあの“蜘蛛”の前では何も意味がないことを理解しながらも半ば本能で、彼女は自分の体を調べた。



(何も……、ない。むしろ、調子がいい。)



傷は一切なく、同時に肉体の不調もなし。腕や手、足を軽く動かしても異常は見受けられない。それどころか昨日よりも調子が良くなっていると思えるほどに良い。服装は変身前に着ていた制服ではなく、おそらく蜘蛛糸で作られた真っ白なワンピース型の寝巻。下着すらも自分の知らないものへと変えられてしまっている。……着心地が良すぎることに、逆に強い恐怖を感じてしまう。



「きゅい?」


「ひっ! ……く、蜘蛛?」



思考があまりよくない方へと進もうとした瞬間、ヒマの足元から甲高い鳴き声。


思わず声を上げて驚いてしまうが、それはすぐに止む。どうやら掌に乗る様な小さな、いや蜘蛛にすれば恐怖を感じるほどに大きな存在が、鳴き声を上げていたようだ。これまでの彼女であればそれを理解した瞬間にさらに大きな悲鳴を上げていたようだが、彼女はすでに“蜘蛛”、あの化け物に感覚を狂わされてしまっている。多少大きな蜘蛛どころで悲鳴を上げているのであれば、そもそも化け物に喧嘩を売ったりしない。



「きゅ、きゅい? きゅいー!」


「……ついてこい、って言ってるの?」


「きゅ!」



身振り手振りで彼女にそう伝える蜘蛛。


彼女が寝ていた寝台や、服。そのすべてが蜘蛛糸で作られていたことから、おそらくその製作者や、現在話しかけてきている蜘蛛の主は“蜘蛛”。ここは、あの化け物の拠点なのだろうと理解するヒマ。


一瞬この場から逃げ出してしまおうかと考えた彼女だったが、そもそも今の彼女の手元には黒く染まってしまった“パール”。変身アイテムであるナイトジュエルがない。アレがなければ本当に何もできない少女でしかない彼女は、眼前の蜘蛛の要求に応えるしかなかった。



「……わかった。」


「きゅきゅー!」



ついてこいという風に鳴く蜘蛛。人よりは小さい存在なはずなのに、ヒマの何倍も速い速度で動くその存在をゆっくりと追いかける彼女。朽ちたビルではあるが、かなり手入れされているようでコンクリートの床は一切汚れやほこりが見当たらず、破片すらない。冷たい石の床を素足で歩きながら彼女が蜘蛛の先導について行くと……。



(……いい、香り。)



彼女の鼻に、優しい香りがやってくる。兄の敵に敗れ、捉えられてしまい、力の源であるパールすらも奪われてしまっている。けれどその香に心を落ち着かせる効果が含まれているのか、つい気を緩めてしまうヒマ。けれどそれは、その香りの元から聞こえてくる言葉によって、打ち消されてしまう。



【あら、お目覚めですか幼子?】


「……ッ。」



香りの元は、“蜘蛛”。その手元には煙管が握られており、蜘蛛糸によって生み出された簡易な椅子に腰かけながら、外の景色を眺めていたようだ。


先の戦闘、自分の何もかもが通じず最後まで遊ばれてしまったことを思い出し顔を恐怖で歪ませるヒマだったが、兄を殺されたという恨みによってその崩れそうになった体を押しとどめ、酷く震えながらも射殺さんといった強い視線で“蜘蛛”を睨みつける。



【あらら、嫌われてしまいましたか。確かに少々強く攻撃しすぎましたものね。そこは謝罪しましょう。……あぁ、そうだ。この煙はただの香ですから。害はありませんよ。】



ヒマの視線をまるで子犬が可愛らしく唸っているかのようにとらえ、笑みを浮かべる“蜘蛛”。仮面でその顔は隠れているが微笑ましいといった顔で笑われているというのは理解できた。……沢山、沢山聞きたいことがある。何故兄を殺したのか、何故私を殺していないのか、私の変身アイテムである黒く染まった宝珠をどこにやったのか。


けれど先の戦闘を思い出してしまうのか、圧倒的強者の前に自分は何もできずただ死を待つしか出来ないことを理解してしまったのか。一切口を開けることができない。震えが、収まらない。それを見かねたのだろうか、“蜘蛛”が、口を開く。



【……あぁ、そう言えば幼子はそろそろ学び舎に行く時間でしたか? ならば早く用意せねばなりませんね。そこの、朝餉を。】



“蜘蛛”がそう虚空に向かって声を上げると、陰から数えきれないほどの蜘蛛たちが這い出てくる。灰色の地面を黒く染めるように湧き出て来たそれに思わず悲鳴を上げてしまうヒマだったが、その蜘蛛たちが運ぶものに、つい目が奪われてしまう。


彼らが運ぶのは、朱色の膳台たちと、座布団。そして盆の上に置かれキレイに畳まれた制服と、その上に乗せられた真っ黒な真珠。更に昨日の戦闘前に投げ捨てた彼女の教科書などが詰められた鞄すらも。



【人の料理は久しぶりに作りましたが、たまにやると面白いものですね。今度はあの幼子にも振舞ってみましょうか。……あぁ、あまり“ハイカラ”でなくてごめんなさいね。】



膳台の上に乗せられているのは、数世紀前に食べられていたような和の朝食。食器などは全て真新しいようだが、明らかにヒマが見たことのないような古いモノばかり。まるで自分だけ違う時間に連れてこられたような錯覚を覚えてしまう。けれど、場所は昨日と同じ、つまり眼前の存在が非常に古い生き物だと言うことが、理解できた。



「あ、貴女が、作ったの?」


【えぇ。そうですとも。幼子に飯を用意するのは何も可笑しなことではないでしょう? あぁ、人の食べられぬものは入れておりませんので安心すると良いでしょう。さ、おかわりもあるのです。早くお食べなさい。】


「…………い、いただき、ます。」



自分の手元にナイトジュエルは戻ってきたが、たとえ変身したとしても眼前の化け物に叶わないと言うことを彼女は理解させられてしまっている。そしてそんな存在が有無を言わさず『食べろ』と言っているのだ。一瞬毒の可能性を考えたが、相手が殺す気ならばわざわざ毒など使わずとも殺せてしまうほどに実力差は離れている。


煙管を口にくわえながら外を眺め始めた“蜘蛛”の様子を伺いながら、いつの間にか蜘蛛たちによって自分の目の前に運ばれていた座布団に腰かけ、手を合わせる彼女。古い故に彼女が理解できぬ料理もあったが、とりあえずまだ何か理解できる小魚へと箸を伸ばし、少しだけ口に運ぶ。



「……おい、しい。」



冷えていない、暖かな食事。丁寧に処理されているせいか臭みが感じられず、魚特有の旨味が口の中に広がる。思わず大きく盛られた白米に口を付けてしまう彼女。魚の旨味を包み込むように米が口内へと入ってき、噛めば噛むほどに甘みが浮かび上がってくる。


気が付けば、“蜘蛛”がこちらを微笑ましいものを見るような視線を送っていることに気が付くヒマ。これまで感じていた圧倒的な強者が弱者をあざ笑うかのような“微笑み”ではなく、母が子供に向ける様な優しいもの。兄を殺したはずの相手なのに、その視線と“蜘蛛”が作った食事。忘れていた懐かしい暖かみを感じてしまう彼女。


自然と箸は進み、いつの間にか用意されていてもの全てを腹に収めてしまうヒマ。どこからか現れた小さな蜘蛛たちが一斉に一礼し、食べ終わった食器が乗せられた膳を奥へと運んで行ってしまう。そしてそれと入れ替わる様に他の蜘蛛が運んできたのは、一杯の茶。


彼女はそれをゆっくりと飲み干し、静かに器を元あった場所へと戻す。



「ごちそう、さまでした。」


【お粗末様でした。ふふ、気に入って頂けて何より、と言うべきですかね? ……さて、落ち着きましたか?】


「……はい。」



口元から煙を吐き出しながら、ヒマに向かって問いかける“蜘蛛”。


“蜘蛛”の言う様に、腹を満たしたことで幾分か落ち着きを取り戻したヒマではあったが……。先ほど“蜘蛛”から『早く朝食を食べ学校に行け』という言葉を思い出し、一瞬だけ横に畳まれた制服へと視線が動く。けれど彼女たち、おいて来てしまったアカリやリッカのことを思い出してしまったのか、すぐに視線が逸れてしまう。


それを眺めていた“蜘蛛”が、少し困ったように煙を吸い、ゆっくりと吐き出す。



【あらら。行きたくありませんか。ならば幼子の親に連絡……、するのも嫌なようですね。】


「……。」


【幼子らしいワガママ、愛い愛い。では、少しお話でもしましょうか。聞きたいことが、あるのでしょう?】






ーーーーーーーーーーーーーーーーーー






〇サルでも解る! ネオ・デス博士の怪人講座!(デスカンパニー製怪人・幹部“兜将軍”編)


はーはっはっ! ごきげんよう諸君! ネオ・デス博士である! 今日もサルに等しい貴様らの頭脳でも理解できるように“懇切丁寧”な説明をしてやろう! さて今回は特別にこの私がまだデスカンパニーに所属していた時に製作した怪人! その幹部が一体を紹介してやろう! 以前デスカンパニーの幹部について質問して来た者がいた故な! その勇気に免じ特別に教鞭をとってやる! 感謝するといい! では基本スペックと行こうか!


■身長:240.9cm

■体重:182.0kg

■パンチ力:79.1t

■キック力:143.3t

■ジャンプ力:82.7m(ひと跳び)

■走力:2.1秒(100m)

★必殺技:大兜総合格闘術


元々軍の特殊部隊の長をしていた者を改造し、高い適応率を示したカブトムシとの融合を果たした幹部怪人! それがこの兜将軍よ! 改造前から人間離れした身体能力を持っており、流石にクモ女には劣るが素晴らしい素体の一つだったと言うことは強く記憶しているな!


昔の武士の様な鎧を着用しデスカンパニーの中では比較的マシな作戦立案をすることが出来た幹部ではあったのだが……。まぁ後進の育成を好む性格だったと言うこともあり、基本教導しかせず、基本組織の方針に口出しをしない幹部でもあった。ちなみに蜘蛛が参考にしている“イメージを具現化させる攻撃”はこの者が持つ技術だぞ。後進育成のため映像資料などを多く残していたが故に蜘蛛のそれを見て学習することが出来た、という形だな!


なおピレスジェットとの戦いであるが、ピレスジェットのみならずそれ以外の戦士も瀕死状態まで追い込んだのだが、何故か土壇場で憎きピレスジェットが覚醒してしまい、クモ女に匹敵する最終フォームへと進化。幹部に施した対ピレスジェット生成毒の再改造も虚しく、毒によって神経系が過剰反応を引き起こしてしまい溶けるように崩壊、行動不能に。必殺キックを喰らい爆散四散してしまった。


思えばアレがデスカンパニー崩壊の始まりだったかもしれぬが……。まぁもう終わった話よ。死した怪人たちがその命をもって集めたデータは全て我が最高傑作であるクモ女に集められておる! 喜ぶといい兜将軍! お前の持つ技術はしっかりとクモ女が受けついているぞ! はーはっは!!!


ではな諸君! 次の講義まではもう少し真面な頭脳を手に入れておくがいい! さらばだ!


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