第2話

ギャルが「結局、逃げられたわね」とカボチャの化け物を取り逃したことを悔しがる。


妹をカボチャの化け物に連れ去られた僕は絶望に沈んでいた。


ギャルが「今何時?」と急に聞いてくる。


僕は「今は0時半だよ」と答える。


ギャルが「なら妹ちゃんは大丈夫のはずよ」と言う。


僕は混乱し、「何故?」と聞く。


ギャルが「来年のハロウィンまで妹ちゃんは封印されるはず」と言う。


僕は更に混乱する。


ギャルが「実は私はヴァンパイアハンターなの」と自分の正体を明かす。


実はさっきのカボチャの化け物もヴァンパイアの一種らしい。


ギャルは「そして、あんたはさっきヴァンパイアの力を手にした吸血人になったのよ」と説明する。


どうやら、ヴァンパイアの血を飲んだ人間が覚醒すると今の僕のような吸血人となり、常人を超えたすごい力を発揮できるようになるらしいのだ。


そして、ギャルいわく、僕の妹は僕と同じく吸血人になる素質があるらしく、ハロウィンの夜に吸血人に変えられようとしていたのだった。


ハロウィンの夜に吸血人になった者は特別な力を手にするという伝説があり、カボチャの化け物はそれを期待して妹を狙ったらしいのだ。


しかも、カボチャの化け物の狙いは妹をコントロール下におきながら吸血人として覚醒させることなので、アジトに連れ去ろうとしていた。


そう、カボチャの化け物は今回のチャンスを逃した為、妹は来年のハロウィンの夜にもう一度、妹を吸血人に変えようとするはず……


ギャルが「次のハロウィンまでに救わないといけないからタイムリミットは一年よ」と言う。


僕はあんなカボチャの化け物を一年で倒せるようにならないといけないと考えると、絶望に押し潰されるような気持ちになる。


さっきの戦闘でも奇跡的に一発決めることが出来たが、その後は全く歯が立たなかった。


急に、ギャルが「私の名前は黒崎綾美」と自己紹介を始める。


そして、彼女は自分と一緒にヴァンパイアハンターをやりながら、妹をさがしだし、助けることを僕に提案する。


「あんたもヴァンパイアの力を手に入れたんだし、一緒に戦おうよ。大切なんでしょ?妹のこと」とギャルは強い眼差しで語りかけてきた。


僕は妹との楽しかった思い出を思い出した。


なんだかんだで慕ってくれていた妹。


両親が事故で死んでから二人で頑張ってきた。


そんな唯一の家族まで僕は失った。


絶対、あのカボチャ野郎から妹を救うと心に誓う。


綾美が助けの手を差し伸べてくれる中、僕の心には闘志が燃え上がっていた。


妹との絆が、未来への強い決意へとつながり、僕はヴァンパイアハンターになることにした。


僕は黒崎綾美に連れられて、とあるビルに到着する。


「ここがヴァンパイアハンターの本部よ」と綾美は説明する。


夜中にも関わらず、ビルの窓からは光が見える。


綾美と一緒にある部屋に着くと、一人のクールそうな男性がパソコンを睨みながら仕事をしているようだった。


男は綾美と僕に気づくと、「お疲れ様。そいつが例の吸血人か」と言った。


部屋からは様々な情報が発せられており、ヴァンパイアハンターとしての新たな任務が始まる予感が漂っていた。


「はい、白木さん、彼が報告した吸血人です。ハロウィンの夜に覚醒したので特異能力者かも知れません」と綾美は説明する。


クールそうな男性は白木という人物らしく、綾美の直属の上司に当たるみたいだ。


白木さんが僕に近づき、「白木だ。よろしく」と言う。


「はい、よろしくお願いします」と僕は白木さんに言う。


白木さんはヴァンパイアハンターについての説明を始めようとする。


すると、急に電話が鳴る。


白木さんがサッと電話に出ると、どうやら応援要請の電話だったようだ。


十一課の連中がハロウィンナイトで暴れていた一部のヴァンパイアを抑えきれないとのことだった。


白木さんが率いる十三課に助けを求めてきたのだ。


「早速、仕事だな。新人」と白木さんは僕の肩を叩く。


「行くぞ、綾美」と白木さんが言う。


綾美は「はぁ、帰ってきたばかりなのに」と少し膨れた様子ではあるが、「やるしかないわね」と気合を入れ直す。


新しい仲間たちとともに、新たな戦いが始まろうとしていた。


僕らは白木さんの運転する車に乗って現場に向かう。


道中では白木さんが現場の様子について情報をオペレーターから確認していた。


綾美が僕に刀の柄を渡す。「これは?」と僕が聞くと、綾美は「さっき私が使っていた殺鬼刀よ」と説明する。


「この刀の柄が人間の血を吸って、刀を生成するのよ。これでヴァンパイア達を倒す」とさらに説明する。


どうやら、殺鬼刀はヴァンパイアから作られた武器のようで、ヴァンパイアにダメージを与えられる唯一の武器でもあるようだ。


そして、綾美は僕に新たな殺鬼刀を手渡す。


これからの戦いで、この刀が頼りになることを感じながら、僕たちは危険な現場に向かっていった。


三人が到着した現場では、数十のヴァンパイアが嵐のような暴れっぷりを見せていた。


「一体、十一課は何をやっているんだ」と白木さんは呆れている様子だった。


ガタイの良い男性一人と、女性が二人がヴァンパイアと交戦中だった。


「あれが十一課の連中よ」と綾美は僕に教えた。


次に、綾美は儀式めいた口調で「解放」と口にし、殺鬼刀を解放すると、その瞬間、赤き刃が煌めいた。


白木さんもまた、懐から取り出した殺鬼刀を解放し、赤い刃を生成させた。


僕も続けざまに「解放」と口にすれば、手に伝わるような痛みとともに、血が奪われていく感覚が広がった。


生成された刃は、黒くて巨大なものだった。


その刃を見て、綾美は笑みを浮かべつつ、「ヤバいやつ出たじゃん」と言った。


彼女の折れた肋骨を手で押さえているが、まだ完治していないようだった。


この状態でも戦う姿に、僕は感心せざるを得なかった。


白木さんはすでにヴァンパイアを一体斬り裂いており、「私達もやるわよ!」と綾美が気合を入れて、ヴァンパイアたちに立ち向かっていく。


激しい戦いが夜の暗闇に煌めきながら繰り広げられていくのであった。

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