ちょっとそこまで

@yuyyii999

第1話 星になったお母さん

お母さんが死んだ。 みんなが言います。




星になったおかあさん




「お母さんは星になったんだと、空の上から。 君をみているよ。その度僕は空を見上げます お父さんは話しかけます。見ていてくれよ。 とか時には泣いて夜空を見上げます。


時が過ぎ私は彼女が死んだ年もとうに過ぎ過ぎました。父は元気にそのままの座標に 暮らしています。私は学校、仕事で転々と居 場所を代えているので今見上げている空には、彼女はいません。時々田舎に帰ると空さえ見上げてることもなく用事をすませ帰宅します。

すると何故か胸が締めつかれる気持ちが後からのこるのです。その度、彼女を思い出し、涙が溢れだすのです。よくできたシステムだ と感心するほどです。


自動翻訳機を使いある国の新聞投稿欄を読んでいたときのことです。

座標?システム? 翻訳機にありがちな間違えだとその時は流し読みしていました。先日、AIニュースで思い出したのです。度重なる震災やパンデミック異常気象により墓地の飽和状態が国会に上が り厚生省と科学省ではこの問題解決に着手し 法案を元に対策を始める。交付にあたり国民 は地方自治体による手続き等を速やかおこなうこと。

ご遺体を火葬するにあたり多くのCO2が排出され燃料不足からも大きな声では言えない、国の生き死には相変わらず宗教観が強く墓地の云々も宗教法人が関わる問題で税金云々もかかわり要は金の問題となるのです。


そこの打開策を政府は打ち出したものと思えまし た。誰も苦しまない国家政策を掲げている内 ならばうまい事妥協案を繰り出したのしょう。その内容が明らかになるにはそう時間は かかりませんでした。まさにお母さんは星に なる計画です。亡くなったご遺体を定期便に、乗せ宇宙で茶理、遺骨を大きな母艦に安置するものでした。特別料金を払えばご家族に限 りAI管理の元、お互いの座標を登録。更に料 金を払えば生存する側の体内にマイクを埋め 込み遺骨に話しかけることができる。更に料 金を払えば供物が届けられ更に料金を払えば 永大供養され更に料金を払えば更に料金を払えばと続くものでした。

よってある国のお母さんの遺骨の安置するボックスにはスピーカーが付けられ、夜空を見上げ独り言を言って 泣いていたお父さんにはマイクが埋め込まれ お互いの座標近くになれば反応し胸を締め付 けられていた青年には特別料金によって何らかの機能が埋め込まれていたのでしょう。そして、この星の周りには安置母艦は数百種ともいわれる宗教ごと、もしくは無宗教ごとに分けられ回遊しているのです。それを管理す るのが宗教法人や団体。相変わらずの特別税 政によって上物の管理いらず、何せPC一台で 手続きが完了するのですから。


私が幼い頃、父が言ったささやきを思い出しました。「あの坊主の手を見てごらん、白くて奇麗だろ。あれは女の肌にしか触ったことのない手だ。」まさにそうなりました。

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