回転世界

後左衛 春散

回転世界

 未来の日本、少子高齢化による高齢者の増加により安定を守りたい保守派が増え世界から取り残された、思想的にも、技術的にも発展途上の国となった。労働者は外国人、特に東南アジア系の人々が多くなり、生成AIや機会化ですむ仕事はそれにとって変わられた。若者達は勉学にいかに努力しようと、社会で重視されるのは忖度と感動と人間性と日本人であるという安心感だけであった。

 しかし、学校で学べるのは昭和的な教育方針の授業であり、忖度はまだしも人間性を重んじるような美術、音楽、体育のような表現授業は重視されず、知識授業でさえ個性・表現を重んじない正解授業という点では社会に活きない愚の骨頂のような授業であった。

 若者の人間性が正統に評価され、人間性を養うために富裕層は知識ではなく経験に投資するようになった。そして誰にでも良い人とみられ、良い人とみられたい若者が増えはじめ、最終的には表現者が減ったような気がする。

 結局の所、人間性を養う理由は働くため=お金を稼ぐためなのだから、自己を表現する無意味な人間性は社会不適合者のレッテルを貼られ、おできのようにみられるのだ。さらにいえば人間性を重んじるが余りに人間性を保たなければというプレッシャーと表現したいという矛盾、しなければ感の強要があるのだ。

 もちろん表現者は法律を犯したり、他の生活を脅かしてはいけない、ある程度の情緒は必要だ。しかし、先のwinnyのように無意識にも表現を差別する、恐怖する対象として見てはいけない。

 そんな人生は面白くない。

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回転世界 後左衛 春散 @hikariatarashi

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