VRMMOで厨二キャラを極めると強くなれる。
祓戸大神
episode0
プロローグ未満のこんな感じで書いていきますよーっていう見本みたいなものです。読み飛ばしても本編には影響しません。
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少女達の眼下には醜悪で巨大な怪物とそれと対立している集団。
戦士、魔法使い、僧侶、そして勇者。この世界で勇者パーティと呼ばれている集団だ。
周りを見渡すとその舞台の様子がよく分かる。
舞台は城塞都市。勇者パーティと対峙している怪物ほどではないが、それなりの大きさの怪物があっちこっちで暴れていて、それぞれに戦っている人が見られる。
建物は半壊し、煙と火が上がっている。
「じゃあ、始めよっか?」
一人の少女が合図をかける。
もう一人の背の低い少女と少年は頷きを返す。
背の低い少女が深紅の旗を取り出す。
長い年月雨風に晒されていたのか錆きった槍に、無理やり括り付けられたボロボロの布。
布には教会のスタンドガラスに描かれているような、穏やかな表情の女性が描かれている。
そして実は持っているだけで少女の手が黒ずみ、血管が浮かび上がり、手に真っ赤な彼岸花が咲き始めている。
その旗を城壁に突き刺す。
ズゾゾッ!!と音を出しながら旗を中心に城壁に彼岸花が咲き乱れる。
そして背の低い少女がポツリと一言。
「
その一言をきっかけに城塞都市が夜に包まれる。
光など一切通さないのではないかと思えるほどの深い闇が広がる。
唯一の光源は城塞都市に現れた鮮やかな赤色の半月。
突然起こった異常事態に怪物達も、それに対立する者達も、避難をしていた都市の住人達も、皆一様に空を見上げる。見上げてしまった。
「@#れ^えy*t&T*FGFDIGG&R^&TY*t&!!!!!!!!!」
突然、避難をしていた住人と怪物を対峙していた一部の人が発狂する。
背の小さい少女がビクッと驚いたが、隣の少女に小突かれてキリッとした表情に戻る。
少年はそれを見て苦笑し、城壁から飛び降りる。
「《新月》」
と呟きながら。
「ふむふむ。南東の方を受け持ってくれたね。それじゃあ、私はそれ以外を受けもとうかな。
大物は頼んだよ?」
「わかった」
偉いねぇと少女が背の低い少女の頭を撫でる。
背の低い少女は抵抗こそしなかったが、ジトっとした目で少女を見る。
「カルタ?」
「ごめんごめん、ついね?ほら、準備準備」
「むぅ………分かった。
《赤雷》《心眼》《黄泉路の導き》」
背の低い少女はむくれながらもスキルを多重発動させて準備を完了させる。
そして少女に合図を送る。
「よーし!じゃあ派手に行くよ!!」
少女はそこで言葉を区切り、目を閉じて集中する。
少女の上空に特大の火の玉が現れる。
赫理夜によって夜になっているが、特大の火の玉は太陽と見紛うほど。
その圧倒的な火力は存在するだけで地面に咲いている彼岸花を焼くほど。
そしてゆっくり目を開いて呟く。
「《鮮火・チリバナ》」
太陽のような火の玉から赤いレーザーが複数発射される。
そのレーザー達は各地に散らばっていた怪物の元に向かい、存分にその威力を発揮した。
全てのレーザーが怪物の頭を撃ち抜いており、撃ち抜いた穴から炎が噴き出ている。
怪物が倒れ、焼かれながら断末魔を叫んでいる。
炎も轟々と音を立てて燃えている。
赤い月、暗い闇と合わせて、そこには地獄ができていた。
その惨状を作り出した魔女は城壁の上で佇んでいた。
その顔につけた狐の仮面が少女の感情を代弁するように美しく微笑んでいた。
しかし一部の方向、南東には一つもレーザーが降らなかった。
むしろ対照的にそこには静寂が訪れていた。
気のせいか、他の場所よりも闇が濃い。
南東方向にいた怪物は本能で悟った。
『ここにいたら危険だ』と。
目の前にいた獲物を放って、恥も外聞もなく逃走する。
自分でもどこに向かっているのか分からない。
とにかく止まったらダメだという脅迫概念だけがあった。
どれほど走っただろうか。怪物はもう歩くこともできないほど疲労していた。
『ああ、フラフラする』。ストンと座り込む。
『もう大丈夫だ』。止まったらダメだという脅迫概念はいつの間にか綺麗さっぱり消えていた。
『あぁ、疲れたなぁ』。バタンと倒れ伏す。
『あれ?』と怪物は疑問を覚えた。
地面が生暖かい液体で覆われているのだ。
見間違いではなければ、それは己の血で。
気のせいではなければ、それは己の首から流れ出ていて。
怪物が思考できたのはここまで。
薄れていく意識の最後に見たのは、穏やかに微笑みながら短刀を振り下ろす少年だった。
場所は変わって巨大な怪物と勇者パーティ。
「一体何が起きているんだ……!」
「分かんない……分かんないけど、都市にいた怪物は全部片付いたみたい」
「ってこたぁ味方か?」
「………いえ、それは分かりません。この夜が広がった時の悲鳴を聞いたでしょう?
何より、あの月からは邪悪な気配がします」
勇者パーティが突然現れた人について相談していると一人の少女がやってきた。
その少女はとても少女とは思えないほどの闘気を纏っていて、勇者パーティの誰もが声をかけれなかった。
すると少しくぐもった声が聞こえてきた。
「すまない。少し良いだろうか?」
どうやら勇者パーティに聞きたいことがあるようだ。
「あ、ああ。どうしたんだ?」
代表して勇者が答える。
「あの怪物。私がもらっても良いだろうか?」
勇者パーティは少女の言っていることが一瞬理解できなくて空白の時間が空いた。
そして魔法使いが再起動して叫ぶ。
「は、はぁ!?もらっても良いですって?そいつがどれだけ強いのか分からないの?
勇者パーティである私たちが全力で戦って押し切れないのよ!?」
事実、この怪物は強い。魔法使いが入っている事も正論だ。勇者パーティは強者、最強スレでも真っ先に名前が上がるほど強い。それこそ知られているプレイヤーの中なら一番強いと言っても過言ではない。
しかし怪物は倒せない。攻撃力は低めだが、耐久、再生能力が尋常ではないのだ。
「ふむ。ならちょうど良いな。私が貰おう」
しかし少女はそれでも譲らない。
むしろ魔法使いの言葉を了承の言葉と受け取ったのか腰に差した刀を抜いた。
そして構えをとる。
「なっ!!あなたねぇ「《死期彩刀術………」」
魔法使いの言葉に重ねて少女が呟く。
「……・四相断雷》」
少女が刀を振り下ろす。
すると赤雷を纏った巨大な剣閃が走る。
その剣閃は怪物に到達すると、なんの抵抗もなく怪物を縦に両断した。
怪物の体は二つに分かれ、地面に落ちる。
そしてポリゴンとなって消える。
怪物の死亡演出だ。
「おや、一振りで良かったようだ。存外脆いな」
勇者パーティは悟る、彼我の戦力差を。
仮に戦闘になれば、歯牙にもかからず倒されるだろう。
しかし、結果的には助けてもらったのでお礼を言おうと声をかけようとする。
が、少女は声をかける前に勇者パーティの方を向く。
構えこそ取っていないが、刀は抜いたままだ。
不穏な空気を感じ取った勇者が少女に聞く。
「何のつもりかな?」
「申し訳ないが、第二ラウンドに付き合ってくれないか?」
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読んでいただき、ありがとうございます。
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