第2話 親友

 ある日青いポストを見つけた。そのポストには絶対に届けると書いてあった。私にはありがとうを伝えたかった大切な人がいる。その子は親友で一年前の中学校卒業後何も言わずに引っ越してしまった。親友の愛は幼稚園の時から私と過ごしてくれていた。親友で家族のような存在だった。だから、いきなり消えたことが許せなくて、それ以来一度も連絡を取らなかった。

 私は馬鹿だ。一時的な感情で愛の連絡先をけしてしまった。すぐに周りの友達に聞けば連絡先を取り戻せたかもしれなかった。優しさで何も言わずに引っ越したと理解した時には電話番号が変わってしまっていた。

 もしこのポストに手紙を入れて本当に愛に届くならば、私はやってみる価値があると思った。こんなことをしたら愛に「何やってるの」って笑われちゃうかな。でもね、本当に本当に伝えたいんだ。感謝を。

 このポストの持ち主の方、お願いです。私の親友へこの手紙を届けてください。


愛へ

  この手紙が本当にあなたへ届くのかわからない

  けれど、私は可能性を信じて書きます。

  愛と初めて出会ったのは幼稚園の時。いつも泣

  いている私を守ってくれたね。

  男の子にいじられては泣いて、おもちゃを取ら

  れては泣いて、転んでは泣いて、本当に泣き虫

  だったよね。

  そんな時真っ先に駆け寄って先生を呼んでくれ

  ていつも助けてくれた。本当にありがとう。

  愛が遠くに行ってしまったと知った時、私は大

  泣きした。泣きながら「いつもなら愛が私を笑

  顔にしてくれたのに。なんでいないの。」

  なんて思っていました。

  愛には感謝を伝えなきゃいけなかったのに、

  いなくなったことを怒って連絡もしませんでし

  た。

  愛は私が最後まで悲しまないようにあえて言わ

  なかったのに。

  本当にありがとう。

  幼稚園の時から中学校の最後まで愛のおかげで

  笑顔で過ごすことができました。春休み中にど

  こかへ行ってしまった愛。

  愛のことが大好きで大切で1番の親友なのにあ

  りがとうを伝えられなかった。

  いっつも泣いていて愛がいなければ何もでき

  なかった私だけど、高校では自分の力で頑張っ

  ているよ。

  もしこの手紙が届いてもし私のことを許してく

  れるなら返事をください。

  大好きだよ。今までありがとう。これからもよ

  ろしく。

                   伊夜より


 後日この手紙は愛という少女に届けられた。この手紙を読んだ少女はとても喜んでいる様子だった。そして新しい連絡先と共に長い長い手紙を書き、送り返した。

このポストについて伊夜から聞いた愛は「何やってるの」と言いながら笑っていた。

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