第16話 九州一周! 夫の旅路
今年の8月8日から11日まで、夫がバイクで九州を一周してきました。たった一人でゲストハウスに泊まって、日本の最西端と最南端を制覇してきたのです。
その動機を、夫はこう語りました。
「昔、会社の同僚が、おれに言ったんだ。
『日本の三端は制覇した。死ぬ前にもうひとつ、完遂したいって』」
その話を聞いたとき、私は彼の情熱に感銘を受けました。同僚にとって最後の目標は、最東端だったらしいんですが、その夢を叶えることなく同僚は白血病で亡くなりました。彼の死は夫にとってたいへんなショックだったのです。
その遺志をつぐのが、夫の一つの夢になっていました。同僚の夢を実現するために、夫は彼にならって日本の四端を制覇しようと決心。同僚の願いを実現することで、彼の魂が少しでも安らぐのではないかと思ったのです。
その計画を立てるにあたって、いろいろな準備が必要でした。まず、近いところから制覇するために、最西端と最南端の場所を詳しく調べ、その周辺の宿泊施設やルートを確認しました。次に、必要な装備を整えました。バイクのメンテナンスはもちろん、防寒具なども万全にしました。暑さを考えて夜1時にゲストハウスを出発したりもしました。夜だったので名物のラーメンも食べていませんし、景色も見てません。ひたすら、四端をめざしているのです。
最西端に到着した瞬間、夫は同僚の夢が実現したことを実感しました。目の前に広がる海を眺めながら夫は同僚に、とうとう来たよ、と心の中で報告しました。そして、彼のためにその場所の風景をしっかりと目に焼き付け、最西端のモニュメントを写真に収めました。
最南端では、「証明書」を売店で発行してもらったと夫は写真を見せてくれました。最西端でももらえたんですが、それを知らなかったんですって。ドジね。
帰宅した夫は、身体中が筋肉痛でヒイヒイ言っていました。
次は最北端と最東端(どちらも北海道)です。これから寒くなる季節。来年にしようかなあ、と夫は今から楽しみにしてます。
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