人間もどき
丸膝玲吾
第1話
生活から主体が消えた。受動的に摂取する情報ばかりでくだらぬニュースに感情を強く揺すぶられている。私はアルゴリズムの奴隷である。くだらないと思いつつ、ついついジャンクインフォメーションに見入ってしまう、を探してしまう。ジャンクインフォ(省略)に威触れられない時は妄想で補う。現実より数段刺激的な物語で頭を満たすことで擬似的な快感を得ている。
どうすればいい?私は現実に生きたい、前に進みたい。何度もそう願った。しかし依然として快楽という泥沼から抜け出せることができない。抜け出せたとこで別の快感にハマるだけなのではないかという気もしてくる。私はどうすればいい?
吐き出すしかない。吐き出すしかないのだ。自分の感情を一滴残らず大海に撒いて地平線の彼方まで運んでもらうしかない。私の感情で海面が数メートル上昇するほど吐き出すしかないのだ。
溺れる人も出てくるだろう。しかし、知ったことか。私は今辛いのだ。私は私のために生きたい、というか生きさせてくれ。後であなたたちを助けるから。そもそもこれはフィクションじゃないか。文字は全てフィクションだ。真実は私に、今キーボードをカタカタと打っている私にある。現実に生きる私が全てでこの文字の羅列はその一部を映し出したに過ぎない。ネットなんて所詮、現実の吐き捨て場である。ネットが汚くて何が悪い。ネットにクソを撒き散らして何が悪い。現在、世間はそうしたものを規制する方向に向かっているが、ならば現実にあぶれる人たちはどこにいけばいい?現実に居場所がなく、吐き出す場がないからネットにいるのだ。もちろん公共の場で罵詈雑言を吐くのはよろしくない。しかし、全員が見る場所ではない、自衛ができる場において吐き出すのは別に構わないではないか。ネットを綺麗にしようとして彼らを規制するなら彼らの居場所を現実に置いて作らなければいけない。現実にも作れないのにネットでその場所を奪うなんてなんて残酷だろうか。
私は今日も書き続ける。この感情が尽きるまで。
私は今日も書き続ける。私が前に進むまで。
人間もどき 丸膝玲吾 @najuna
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