第18話


 ギルドでの訓練も最終日で模擬戦も終わり、これで本当に最後だ。


「卒業だが、訓練を忘れるなよ?モンスターは待ってくれないんだ!お前らが先頭で動けなければ他のメンバーは死ぬんだからな!」

 グラムが俺たちに向かって言う。

「「「「はい!」」」」

「みんな卒業おめでとう、みんな死なないように見極めが肝心だからね?撤退も視野に入れて戦うように!」

 今度はシザーレが言う。

「「「「はい!」」」」

 とグラムとシザーレに感謝して訓練を終える。


 ここでの訓練で終了したらギルドに冒険者証を渡す。するとワンランク上に昇格した。

 俺もこれでDランクになった。


 みんなも同じでワンランク上がったらしい。


「じゃあ、また会おう!」

「おう!みんなまたな!」

「お、おう」

「それじゃあ」

 とミドル、サイ、ドンとも再会を約束して別れる。

 俺は真っ直ぐに宿に帰る。


「あれ?俺が先か」

「そうみたいだな!まぁ、座れよ」

「おぉ、ご馳走だな!」

「俺らの奢りだ!今日は飲むぞ!」

 ラビオン達にが祝ってくれるようだ。


「たっだいまー!わぁ、凄い!美味しそう!」

「ただいま。凄いご馳走ね」

 リミとアイラが帰ってきて大テーブルに座る。

「ラビオンありがとう!」

「ハハハッ!俺たちストロミーからだ!」

「みんなありがとう!」

「ありがと!」

 リミ達はもう待ちきれないようだがもう一人帰って来ないな。


「もう!離してよ!私は抜ける気ないって言ってるでしょ!」

 と言いながら宿に入ってきたのはネイルだが、途中で止まっている?

「どうした?」

「あ!ルシエ!助けて!」

 と誰かに手を掴まれているようで助けを求めて来る。

「ゲッ!ストロミー?!」

 男達はラビオンを見てネイルを掴んでいた手を離す。

 ガラの悪い男達四人が中に入って来る。


「はぁ、なんだ?ゴテアラじゃないか、俺の知り合いに何のようだ?」

 ラビオンは知ってるようでゴテアラと言う男がリーダーなのか?

「し、知り合いなら話が早い!うちにスカウトしてただけだ!」

「いやいや、俺たちのパーティーメンバーだぞ?」

 ゴテアラと言う男からネイルを後ろに匿うように前に出る。


「あ?お前らなんか知らねーよ!こっちは斥候が必要なんだ!」

 は?こいつは何を言ってるんだ?

「おい!ゴテアラ!パーティー間の引き抜きは断られたら退くのが決まりだろ!」

 ラビオンが言うとゴテアラの後ろ三人は怯えて退がるが、

「そ、そんなもん知らねーよ!俺たちには必要だから入れと言っている!」

 ゴテアラと言う男は自分勝手なようだな。

「はぁ、話にならないな!斬られたいのか?」

 俺は剣を抜く構えをする。

「俺はルシエ達の加勢をするぞ?」

 ラビオンも大剣に手をかける。


「く、クソッ!お、お前!後で泣きついて来ても知らないからな!!」

 逃げて行くゴテアラ達は真っ直ぐ大通りをギルド方面に走って行った。

「…あいつら、訓練が終わる機会を待ってたな?」

「そのようだな。まぁ、あいつらについて行く奴はいないだろ?」

 ネイルに聞くと、

「もうみんな帰ったと思います!それにみんなもパーティー組んでたから!」

「なら大丈夫だな。また来たら追っ払えばいいか」

 ラビオンが言うとみんなが頷く。


「よし!宴の開始だ!みんなよく頑張ったな!」

「「「「はい!」」」」

「私達からの祝福よ!乾杯!!」

「「「「「「カンパーイ」」」」」」

「な!俺が乾杯するはずだったのに!」

 ラビオンは一人遅れて乾杯と言うと席に座ってエールを飲み干す。

「ふぅ、まぁいいや!めでたいな!」

「ありがとうな、ラビオン!」

「いいって事よ!」

 

 まぁ要らんゲストが来たが祝って貰い、いい気分でその日を終えることができた。


 自室に戻りシャワーを浴び、スッキリしてからスキルツリーを確認する。


 剣聖のスキルツリーは順調に伸びを見せているし、ポイントも貯まって来ている。

「ハハッ忍者のスキルツリーも少し伸びてるな」

 やはり伸ばすことをするとそっちにもポイントが割り振られるのか?それか伸びた分の努力をしたかだな。


“コンコン”

 開けるとリミだった。

「起きてた?って、起こしちゃったかな?」

「いや、起きてたよ。どうしたの?」

「んー、まぁ、遊びに?」

 と言って入って来るリミは酔っているようで少し妖艶な雰囲気を出している。


 ベッドに二人で座ると擦り寄って来て。

「えへへぇー、ルシエの匂い」

「ハハッ、シャワーは浴びたぞ?」

「いいの!この匂いが好きなの」

 匂いフェチというやつか?


「えーい!」

「うおっ、なにするンっー」

「アハッ!チューしちゃった」

「ハァ、俺は止まれないぞ?」

「きゃー!襲われちゃうぅ」

 はしゃいでるリミを捕まえ、キスをすると、

「んっ!はぁ、あん!」

 抱きしめると甘い息が漏れる。


「ここって壁が薄いんだよ?」

「じゃあ静かにしないとな」

「もう、えっちぃ」

 ベッドに二人で潜り込み朝を迎える。


 薄っすら明るくなってきた。

 カーテンの端を少しだけ開いて外を見ると二人ほどもう仕事をしているようだな。


 隣で寝ているリミを起こさないようにベッドに座る。


 俺は今幸せだろうな。


 リミやアイラとこう言う関係になって、愛してもらう。俺ももちろん愛している。


 今までこんなにストレートに愛を語るなんてことはなかったから、戸惑っているが…


 自由に生きてると実感できる。


 

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