第2話

別れを選んでから柚葉の生活は一変した。



たしかに別れがあったのだから生活も一変するだろう。



毎日連絡を取っていた晃からは連絡がくることがないのは当然のこと。



それに寂しさを覚えないと言ったら嘘になる。




こんな時に話せる友達がいたらな…

柚葉には友達はいたがみんないろいろと忙しい。



恋愛に結婚に子育てに女性には様々なライフステージが用意されている。



その誰かに属するのか属さないのか

はたまたキャリアを積むのか。



女性の選択肢は増えたのである。




柚葉も晃との『結婚』を考えていなかったわけではない。



結婚に『夢』や『憧れ』があるわけではなかった。



親がよく言えば幸せそうに見える。

悪く言えば『表向き』だけの夫婦だったので柚葉はなんとなく『結婚』という二文字に



希望を見出せないでいた。




『結婚』の二文字に希望がなかったのは晃も同じだった。



お互い付き合ってはいたが結婚がゴールではないと思っていた。



そこの考え方は一致していたはずなのに2人は別れを選んだ。



柚葉のちょっとした不安や不満に対応するのが面倒になったのかもしれない。



性格の不一致と言葉にするのは簡単だが背景には様々な事情が見え隠れする。




2人は付き合って2年という月日を一緒に過ごした。



同棲していたわけではない。

楽しくなかったわけでもない。


いや、むしろ楽しかった。



些細なことで笑って

些細なことで喧嘩して仲直りしてまた喧嘩して。




毎日が華やかだった。

無地だったキャンバスが彩られていくように柚葉は感じていた。



しかし、今はまた無地のキャンバスに戻ってしまった。



本当に悲しい時は涙も出ない。

ご飯を食べても味がしない。



笑っている自分と心から笑えない自分とがせめぎ合って己をまた苦しめる。




なんで別れたんだっけ?


そんな疑問を柚葉自身が自分自身に投げかける。




私がもう少し我慢していたら、自分の感情を表に出さなかったら



晃はそばにいてくれただろうか?



少しの不安なんて口にしなかったらよかった…


最後の喧嘩の時、柚葉はもう感情を抑えられなかった。




不安は最大限まで増幅して晃を責めた。



それに応えるかのように晃も柚葉を責めた。



もうここまでくれば『別れ』を選ぶ他なかったのである。




後悔といろいろな感情が波のように押し寄せては引き、また押し寄せてくる。



別れを経験するとこう言う感情になる。



しかし、柚葉はこれから不思議な体験をすることとなる。



さてこれから柚葉が体験することは夢か幻かはたして真実か!


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