第5話 虫を消化しましたっ

「───────っ!」

奇声をあげ追いかけてくる。僕はダンゴムシの奇声にビビりながらスキル『突風』を使って逃げていた。耳が痛い。体が重い。さっきは動けなかったが根性で体を動かした。体は大きくクマの時の恐怖はないはずなのに僕は怯えている。何故?


«一定量のストレスにより、『威圧耐性』を取得しました»


すると、体がすっと楽になった。なるほどこのダンゴムシの奇声は威圧だったのか。しかし、僕にはもう耐性がついた。このままやっけてやろう。スキル『脚力』を使い。力は1%以下の力でやってみる。ダンゴムシの頭上に移動し手加減しながら蹴った。


ガンッ


しかし、ビクともしない。弱すぎたか?じゃあ、10%で。

僕は体制を立て直しもう一度攻撃をする。


ガンッ


先程と変わらない音。これでも弱かっただろうか。そう思っていると、ダンゴムシの表面が淡く光る。今の『脚力』の力はlv2だ。最初の時の『脚力』は今の『脚力』の10%だ。その10%でも変わらず硬い。ダンゴムシの表面は防御力が強いのだろうか。もしかしたらダンゴムシのスキルかもしれない。ならバカにぶつかるより考えた方がいい。僕は木の枝に降り立つ。ダンゴムシは奇声を上げながら再度僕に襲いかかる。威圧は効かないぞ?僕はそのまま避けて『突風』で相手を浮かせる。表面が硬いとしてもお腹はどうだ?僕は1%の『脚力』で地面から『突風』で浮かせたダンゴムシのお腹を蹴った。すると、簡単にお腹は破裂し緑色の液体が溢れてくる。

僕はスキル『突風』を止め、ダンゴムシをゆっくりと地面に下ろす。

まず、最初に自分の体についているダンゴムシの血液みたいなのを舐めてみた。





「んんっ」





美味しい。美味しい。美味しい。美味しい。美味しい。美味しい。



次に足を一本引きちぎる。



バキッドロッ



足を引きちぎると血液も一緒に溢れてきた。



グチャグチャ



ボリッボリッ




僕は口いっぱいにダンゴムシの足を頬張り幸せを噛み締める。そのままたくさんあるダンゴムシの足を全て綺麗に食べ尽くす。


次にスキル『脚力』で破裂しさせたお腹を啜ってみる。



ブチュッ



肉を咥える。



ゴキュッゴキュッ



血肉を吸い飲み込む。



ブチブチッ



肉を噛みちぎる。



中身を食べて今度は甲羅のように硬いダンゴムシの背中はどんなに美味しいだろうか。

硬いから食べれないかと思ったがどうやら僕の咀嚼筋の方が強かったらしい。


バキッっと鋼鉄のように硬い表面を難なく口に咥える。



ボリボリ



口いっぱいに頬張り噛み締める。



バキッバキッ



もう一口。



ゴリッゴリ



力強く口の中で転がしながら。



ゴリュッ



ん?軟骨かな?






美味しい。上手い。幸せ。絶品。気持ちい。美味しい。美味しい。もっと。もっと。もっと。もっと。もっと。もっと。もっと。





───喰べさせて。





ステータス通知で僕は我に返る。


«スキル『悪食』の消化が完了、のちに発動を続けます»


«スキルの消化の完了により、『吸収』を取得しました»


«スキルの消化の完了により、『威圧』を取得しました»


«スキルの消化の完了により、『結界』を取得しました»


なんかスキル増えたな。『吸収』ってなんだろ。にしても消化が終わるまでずっと僕気絶してた?危ないな他の魔物に襲われたら死ぬよ。


【スキル】吸収

・【魔の樹木】のスキル。相手の魔力を吸収し、自分の魔力に変換。


なるほどやっぱりあの樹木は僕の魔力が多いから集中的に襲ってきたのか。しかし、他の動物や木々を見てみたら生命力も奪ってた気がするが。

僕は試しにそこら辺に生えている木に手をかざし集中する。スキル『吸収』を使ってみた。普通の動物や木々、草花は殆ど魔力がないがミリ単位では魔力を持っているのだ。少なすぎて僕には魅力的でなく最初は分からなかったが魔力を感じられるようになってからわかるようになった事だ。だって、魔力は僕にとって好物なんだから。

スキル『吸収』を使ってみるが木が枯れた様子はない。どうやら、僕には魔力だけしか吸収出来ないらしい。しかし、お腹は膨れなかった。量が少ないこともあると思うが食べないと少しも空腹を満たされない。

これはあまり使わないかも。


【スキル】威圧

・相手を威圧し、怯ませることが出来る。


これはあのダンゴムシのスキル?性質だろうか。スキルならスキルって書いてあるだろうし。使い道はわからないが役に立ちそうだ。


【スキル】結界

・【魔物】岩昆虫のスキル。自分の周りに球状の結界を貼ることが出来る。発生源は魔力。コストは20。


岩昆虫?初めて聞いたんだけど。もしかして岩みたいにでかいからそんな名前なのかな?にしても防御力が上がったぞ。ラッキーだ。地味にコスト高いけどどうでもいっか。僕の魔力量だと関係ないし。コストが高いってことはあのダンゴムシは強かったのかな。

ステータスはどうなっただろうか。


【名前】紺本 紀(こんもと かなめ)

【種族】人間

【性別】女

【年齢】18

【職業】なし

【レベル】13

【称号】なし

【スキル】悪食lv2

突風lv2

光合成

聴覚

脚力lv2

暗視

再生

毒の息

猛毒

万能薬

精神抑制

体力回復

解毒剤

解呪

酸耐性

威圧耐性

吸収

威圧

結界


【HP】697230/697230

【MP】839420345/839420345

【攻撃力】109634

【防御力】236975

【魔力】839420945

【素早さ】100395

【運】193


防御力が結構上がったな。全体的に変わったし魔力がもうそろそろ10億超えそう。【運】は殆ど変わらないなどういう所で変わるんだろ。【運】が上がればスキルのレベルが上がってスキルのレベルが上がればレベルが上がる。そういう仕組みなのだろうか。

僕はステータスを見ていたがなんとなくスマホみたいに【運】をタップしてみた。


【運】

100単位でスキル『悪食』のレベルが上がり『悪食』のレベルが上がることでレベルが上がる。


待てよ。ちゃんとした説明あったのかよ。もっと早く言えよ!なるほど。『悪食』が上がった時【運】は100超えていたような気がする。基準はわかったけど結局【運】がどうやって上がるのか分からないままだ。

僕は他のステータスもタップしてみる。


【種族】

人間。


ウィンドウは開くけど説明がほとんどないな。人間か。なんだろ。ちょっと安心した。


【性別】

女。


あー。僕、そういえば女だったんだ。こっちに来て2日しか経ってないけど自分の性別忘れてた。野生になっていってるってことか?とりあえず、正気を失いそうになったらこのステータス見よう。


【年齢】

18。


ここもなんの説明ないな。そういえば高校もうすぐで卒業するんだった。忘れてた。もうすぐ一人暮らしって思って結構楽しみにしてたんだけどな。こんなことになるとは。


【職業】

なし。


色々と動物を狩ってるから。もしかしたら狩人みたいなのつくかなって思ってたけどなんもないのか。もしかしたら人の街とかで職業を見つけるのかもしれない。

僕はここまでのステータスを見て周りを見る。木々や草花が茂っていてどこかなんて分からない。僕は近くの木の上に座る。そこら辺に立ってると襲われかねない。


【レベル】

13。


なんか【運】以外は簡単な説明もないな。もしかしたらこのまま何も無いのかも。困るな。なんか情報があって欲しいのだが。


【称号】

なし。


まぁ、予想通りか。面白くないな。称号って貰えるのか?資格とかなのかな?アニメで言うなら加護とかそんなのか?


【スキル】

悪食lv2、突風lv2、光合成、聴覚、脚力lv2、暗視、再生、毒の息、猛毒、万能薬、精神抑制、体力回復、解毒剤、解呪、酸耐性、酸、威圧耐性、吸収、威圧、結界


当然といえばとうぜんかな。今思えば2日でよくこんなスキル取得したよな。笑えるよ。


【HP】

697230/697230

身体の体力。0になると死ぬ。


お、やっと説明。まぁ、僕が考えてたのと一緒か。てか、簡単に死ぬって書いてあるから怖いな。最初の結構少なかったのに何倍も増えたよ。


【MP】

839420345/839420345

身体の魔力容量。0になると高熱が出て、少しずつHPが減る。


それは知らなかった。てか、これは容量を示してるのか。魔力と変わらない気がする。魔力は結構あるし高熱にはならないだろう。


【攻撃力】

109634。攻撃の数値化されたもの。高ければ高いほど強い。


【防御力】

236975。防御の数値化されたもの。高ければ高いほど強い。


攻撃力と防御力はこんな感じなのか。簡単すぎるな。もうちょっと細かく書いてあるかと思ったが。総合的に数値化されているのか?そこら辺も考えなければな。


【魔力】

839420345。身体の魔力を数値化されたもの。高ければ高いほど強い。


やっぱり変わらないぞ。これいらないんじゃないか?あ、でも僕の中にどのくらいの魔力が最大なのか知るためにはMPは必要だな。役割がわからないからこれはスルーしよう。


【素早さ】

100395。身体の素早さを数値化されたもの。高ければ高いほど早い。


そのままだな。これでステータスは一通り見た。食べれば食べるほど栄養分として魔力や攻撃力などが上がるのはやはり『悪食』のおかげか。もしなかったらここまでないだろう。異常な成長。他の人間とかいないから比べられないけど。まだ、スキルとか取得してレベル上げたいかも。

そう思っていると目の前に真っ赤な目をしたでっかいカマキリが現れた。ちょうど鎌を振りかぶっているところだ。

「ぎゃあああああああっ」

僕は咄嗟にスキル『脚力』でカマキリの首を吹き飛ばした。

「し、死ぬかと思った……」

ドッドッドッと心臓の音を聞きながら死骸になったカマキリを食べた。

それからここは虫の生息地なのかでかい魔物の虫が僕を襲ってきた。

催眠をかけてきた大きな蝶が僕を誘惑し、惑わせる。しかし、僕にとって食べ物だから逆効果だ。

今まで見たことの無い大きさのアリの軍隊が僕を囲む。この量はさすがに戦えないか?と思ったのでスキル『威圧』をかけると怯えてどこかへ消えた。一匹は『突風』で捕まえたて食べた。

そのあとグロい模様をした蜘蛛に遭遇した。蜘蛛は苦手なため1度逃げたが不意打ちで仕留めやはり食べた。

蜘蛛は美味しかった。

途中でゴキブリにあったがさすがに食べようとは思わなかった。美味しそうに見えるし戦う時も苦戦して楽しかったが食べたら僕の中の何かが消えそうでやめた。

全ての虫が異常なまでに大きく魔力を持っていた。ゴキブリは逃げてしまったが逆によかった。食べ終わって消化を待つために森を歩いて見たがほとんどの虫が食われているのを見てたのか他の魔物は怯えて襲ってこなかった。


«スキル『悪食』の消化が完了、のちに発動を続けます»


«スキルの消化の完了により、『隠密』を取得しました»


«スキルの消化の完了により、『催眠』を取得しました»


«スキルの消化の完了により、『怪力』を取得しました»


«スキルの消化の完了により、『糸』を取得しました»


«魔力異常摂取により、魔力が増幅しました»


«【運】の更新により、スキル『悪食』がレベルアップしました»


«スキル『悪食』により、レベル14になりました»


«レベルアップにより、スキル『突風』がレベルアップしました»


«スキル『突風』により、レベル15になりました»


«レベルアップにより、スキル『脚力』がレベルアップしました»


«スキル『脚力』により、レベル16になりました»


«レベルアップにより、スキル『毒の息』とスキル『猛毒』が融合しスキル『ポイズン』になりました»


«スキル『ポイズン』により、レベル17になりました»


«レベルアップにより、スキル『酸耐性』がレベルアップしました»


«スキル『酸耐性』により、レベル18になりました»


«レベルアップにより、スキル『酸』がレベルアップしました»


«スキル『酸』により、レベル19になりました»


«レベルアップにより、スキル『威圧耐性』がレベルアップしました»


«スキル『威圧耐性』により、レベル20になりました»


«レベルアップにより、スキル『威圧』がレベルアップしました»


«スキル『威圧』により、レベル21になりました»


«レベルアップにより、スキル『結界』がレベルアップしました»


«スキル『結界』により、レベル22になりました»


«レベルアップにより、スキル『隠密』がレベルアップしました»


«スキル『隠密』により、レベル23になりました»


«レベルアップにより、スキル『催眠』がレベルアップしました»


«スキル『催眠』により、レベル24になりました»


«レベルアップにより、スキル『怪力』がレベルアップしました»


«スキル『怪力』により、レベル25になりました»


«レベルアップにより、スキル『糸』がレベルアップしました»


【名前】紺本 紀(こんもと かなめ)

【種族】人間

【性別】女

【年齢】18

【職業】なし

【レベル】25

【称号】なし

【スキル】悪食lv3、突風lv3、光合成、聴覚、脚力lv3、暗視、再生、ポイズン、万能薬、精神抑制、体力回復、解毒剤、解呪、酸耐性lv2、酸lv2、威圧耐性lv2、吸収、威圧lv2、結界lv2、隠密lv2、催眠lv2、怪力lv2、糸lv2


【HP】839552/839552

【MP】1002593647/1002539647

【攻撃力】396142

【防御力】417368

【魔力】839420945

【素早さ】204521

【運】201




お、おう。ステータス通知うるさいな。








その頃、カナメが自分のステータスに驚いている間。あの果物の林に一人の10歳くらいの美少女がたっていた。その少女は美しく蒼色のドレスを着こなしており自身の体が眩しく光っていた。白銀のように輝く髪はボブでサラサラと風に流される。

少女は林を見渡す。


「かなり食べられてしまいましたね。いったい彼女はどこから来たのでしょうか」


少女が手をかざすと膨大な魔力が放出される。すると、カナメに食べられた果物は次々に実が成る。少女は果物の林を元に戻すと森の方に目を向ける。その表情はとても悲しそうに見えて怒っているように見える。


「この森はとても美しかったのに……」


そう見つめる少女は異変に気づく。


「……っ!魔族が産まれる……っ!」


少女はすぐに果物の林に結界を貼り、自分の居場所に急いで戻った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る