パル

いなかぼっこ

第1話 とっても私ピンチです。。

 今は思い出の中に居るのです。目を開ければあの子達との懐かしい風景が蘇り、時々泣いてしまいます。あの春の日の出来事は今でも忘れられません。


回想シーン

 

 無理難題を押し付ける人のけたたましい声が聞こえて来ませんか?呆っぽい私に刺激をキュッとしてみてね。どうしてもと言うのならこの人生貴方に捧げても良いのにな。


菜緒「お花さん、私の行き先方向キーをクリックして。キャハ」


誰だろう?彼女は。見慣れない景色の中、一人で花と遊んでいるみたいだ。


菜緒「あっと、いけない。もう行かなきゃ」


そういうと彼女は足早に学校に向かいます。先生達が今まさに門を閉めようとしているのでした。彼女は激変してしまいます。


菜緒「待て、待てい、先生。菜緒ちゃんパン食い競争頑張りますから~入れて~」


今日は入学式。新入生の人達が大勢並ぶ中、ギリギリ中に入れて貰って間に合ったのだ。


菜緒「ふぅ~。粋な計らいで良かった。良い先生やね。そうですの♡」


どことなく見慣れた様な、でも、そんなに居るはずもない彼女は、その実、馬鹿になるほど綺麗な人だった。しかしながら、笑いの災難が常に降り注ぐそんな彼女の名は菜緒。菜緒の好きな言葉は柔能制剛。弱く見えてもその実は強いと言う事を信条とする彼女は13歳。花と笑いと逞しさを愛する女の子だったりする。


菜緒「クラスの男の子女の子達はいずこへ。鼻で嗅ぎ分けるぞ。クンクン」


麻薬犬の様に捜査を開始するだったが、クラスメイト達は講堂に集まって校長先生が壇上に上がろうとしている正にその時だった。


菜緒「ヘイ、ヘッドマスター(校長先生)。キンカクジ。フジヤマ。テンプラ。スシ。オクレテキマシタ、ミス・ファンデーションデス」


一同「・・・」


菜緒「イーー!」


校長「優しく言うからね。しっかりするんだよ、君。良いね?」


菜緒「ア”イ。分かりました(ひんやり空気感、まぎびしが飛んでくるわ泣)」


菜緒は自分の列に並ぶと、校長先生からの話が始まった。しばらくすると、後ろから一人の女の子が菜緒に話しかけて来た。


沙也加「ねぇ、校長先生の話長いよね。若作りしてるかもしれないね」


菜緒「そうだよね。ワワワイ、ワイは菜緒と言いますぅ。さっきは恥ずかしい所をご無礼しましたっすぅ」


沙也加「何なの?それ。面白い挨拶だね。私は沙也加と言うんだ。凄い馬鹿だけど何とか生きてるって感じだよ。菜緒ちゃんだよね。太っている力士みたいなしゃべりやめてよね。あはは」


菜緒「ごめんなさい。遂、手に力入ってしまって。可愛く生きたいんです。悩み1号」


沙也加「変わってるのは校長先生だよ。ヒップポップ世の中を提唱するって熱くずっと語っているよね。元体育教師なんだってさ」


菜緒「何それー?変わってるけど優しそうだし良い学校だよね。きっとね」


沙也加「そうだね。菜緒ちゃんこれから宜しくね」


菜緒「こちらこそですよ」


全てのカリキュラムが終わった後、新入生達は海辺の見える南校舎の教室にやって来て、それぞれに自己紹介を始めたみたいだった。


校長先生に許してもらって気分の良くなった菜緒は教室に行く途中で、3年生と揉めている女の子と遭遇した。


加美子「三年生になったら生徒会長なれるんです、普通は」


洋子「そうだよ。いきなりなれるわけないよ。常識じゃん」


明日香「I CAN DO IT。形から入るのは真正のバカよ。私がナチュラルボーンジーニアス。生徒会執行部は言いなりよ。正義は勝つのよ」


2人「う~ん。生徒会っておしゃれな人に会長やってもらいたいし、今の愛蘭さんは気品があって素敵な人なんですよ」


明日香「うるさい!朝からししゃも焼いてるこの私を差し置いて上に上に行こうとするのは断じて許せない。1年3組新橋明日香。今日はとことん上り詰めてみせるわ。雨天決行」


菜緒「早くしないとホームルーム始まるよ。貴方も同じ一年生でしょ?教室の場所教えますよ♡」


明日香「うん、そうなの。私、初めてまもない一年生。頑張れ、いちごちゃん推しフルーツ生活ってアホがぁー。アンタ私がのぼり詰めるのを邪魔するなら尼さんになりなさい」


菜緒「キーー。強気な人。アンタ何が出来るの。牛でも肉牛の方が好きでしょ?その子を食べる嫌な人だ」


加美子「そんなの普通でしょ。二人とも争わないで。教室に行ってね」


洋子「そうよ。早く行きなさいよ」



菜緒は急いで教室に向かうのだった。明日香から罵詈雑言が飛んで来たが、でたらめと無視で対抗していた。席について早くも何人かで仲良くしている長身でしなやかで強そうな体の沙也加にせきを切ったように話しかけていた。


菜緒「びぇーん。沙也加ちゃん。上手からすいません。ワイドビーム貸してもらえないかしら。もう〜。叩き切りたい馬鹿野郎がいますよ」


沙也加「どうしたの?ロボの武器は持ってないよぉ。校長先生に怒られでもしたの?」


菜緒「ううん。嬉しい事に私がトニックをふりかけたら喜んでくれたよ」


沙也加「ふふ。整髪料何処にあったのかわからないから。それより慌ててどうしたの?」


菜緒「それがね・・・」


明日香「私の私の席は?肘打ち〜♫オリー」


菜緒「知らないよ。前の方に居なさいよ。目が悪いんだっしょ」


沙也加「止めろ、おまえの村は何処だよ」


明日香「おら、しらねぇ」


沙也加「しらねじゃねぇっぺ。大体おまえは世間体を気にしなさ過ぎだぁ。そんだろ」


明日香「まな」


菜緒「あの〜すいません。どちらから来られたんですか?」


明日香&沙也加「ダブルスーパーチョップ」


菜緒「ぐぇ。何するのよ2人は知り合い?」


沙也加「そだよ。私等のノリでやってんの。田吾作とオカメのモードやんか」


明日香「そうそう。ってあんたは私の邪魔したから、だけどまぁな。許そっか」


沙也加「菜緒ちゃんって言う子よ。可愛いしええ子やから。ダメやろ、そんなにほたこえるから皆んな引いてるじゃん」


明日香「毎度ありがとうな。私が新橋明日香。言わずと知れた大統領ですよ。宜しくやね」


沙也加「ついでに私が新山沙也加。体操やってるんだよ。宜しく。ほら、菜緒ちゃんも」


菜緒「あっ、はい。私は相澤菜緒。噛んでも噛まれるな。ノるならノるでおもてなし。口調は泡沫。さながら紅孔雀の舞でございますぅー。ポテンシャル高し」


クラスメイト「へぇ〜目立つ3人だなぁ〜」


菜緒は恥ずかしながら自己紹介出来てほっとした。前途多難な新生活が始まったのだ。

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