第9話 学校から戻ると……

「明日は、学校に行くからね?」


 えっ!?と驚いた表情をしてベッドに並んで座っていたユナちゃんが、私を見つめて驚いていた。


「え!?……明日は、わたし一人?あの……部屋にいてもいいの?」

「当然だよーリビングと、部屋なら使っていいけど……散らかさないでよーバレちゃうから」

「散らかさないよー」


 そうだっ!家の鍵も渡して置かないと……出掛けたくても出掛けられなくなっちゃうよね……


「これ、家の鍵ね。出掛ける時は鍵は閉めて出掛けてー」

「え?わたしが持っててもいいの?」

「ん?一緒に住むんだよね?出ていくの?」

「出て行かないっ!ずっと一緒に居たい……」

「なら、鍵を持ってないとね!」

「……う、うん……わかった。大切にするッ」


 受け取った鍵を大切そうに握りしめて嬉しそうにしていた。


「一人で大丈夫だよね?」

「う、うん……お昼に帰ってくる?」

「うん。テスト期間中だからねー」

「鍵は……えっと……私の机の引き出しを使っても良いよー。ここ使って良いよ」

「わかった。ありがと」


 

 翌朝……


 スマホのアラームで目を覚ますと、隣で可愛い寝顔で寝ているユナちゃんを起こさないようにベッドからで、朝の支度を済ませて学校へ向かった。


 学校のテスト中は、ユナちゃんの事が気になりボーッとしていたけど……まぁいつも通りテストは出来たかな。


 途中で友達に声を掛けられたけど……ユナちゃんの事が気になって、急いでると言い訳をして家に帰ってきた。


「ただいま〜」


 リビングを除いて見るけど誰も居ない……部屋に入った。


「ただいま〜……?」


 あれ?ユナちゃん?トイレかな?部屋着に着替え終わり、トイレを覗いても誰も居なかったので部屋に戻り机の引き出しを見ると、鍵が無くなっていたので出掛けたと分かった。


 どこに行ったんだろ?買い物とか……?でも、お財布やお金を持ってたっけ?散歩かな……?


 1時間程待っていたが帰ってこなくて心配になってきて部屋やリビングを行ったり着たりしていた。もぉ……心配すのに……置き手紙とかしてくれればいいのに……


 家に帰ることに事にしたとか?でも、帰りたくないって言ってたよね……もお!


 まさか学校の近くで待ってたりして……?心配になり普段着に着替えて、一応……置き手紙を書いた。

『心配になったので、外に探しに行くから帰ってったら大人しく家で待っててね』と、メモに書き机の上に置いておいた。


 階段を駆け下りて玄関を開けると大きなリュックを背負ったユナちゃんが疲れた顔をして、ポケットから鍵を取り出している所だった。


「疲れたぁ……」

「もお!どこに行ってたの!?」


 つい……怒鳴ってしまってユナちゃんが驚いた表情をしていて、慌てて言い訳をした。


「心配で……怒鳴っちゃって……ごめん」

「え?あ、ごめんね……直ぐに戻って来る予定だったんだけど……リュックに、あれも、これもって入れてたら……いっぱいになっちゃって」


 だんだんと、安心をしてきて目がうるうるとしてきて、ユナちゃんに抱き着いていた。


「お姉ちゃん……心配かけてごめん……」

「ホントだよ……心配した……ばかぁ……メモくらい残しておいてよね……」

「うん……そうする……」


 あれ?なんで私泣いてるの?出会って……2日目だよね?おかしいなぁ……。こんなに心配をするなんて……それに……ユナちゃんに抱きつくとドキドキ……して幸せな気持ちになってる?


「何を持ってきたの?ぐすんっ……」

「えっと……下着と……部屋着かな……」


 心配そうな表情をして、チラチラと私の顔を見ていた。


「持ってあげる……」

「え?いいってば……自分で持てるよ」


 ユナちゃんから強引にリュックを奪って部屋に向かった。


「おねーちゃん……自分で持つってー」

「疲れたんでしょー休んでなよ」

「ありがと……お姉ちゃん……好き……」


 好きと言われてドキッ!として嬉しくて……さっきまで怒って、泣いていたのに……今は嬉しくて仕方がなくて笑顔になってニヤけてしまう。


「部屋に戻ったら一緒に片付けを手伝ってあげるよ♪」

「えー……一人で出来るよ……」

「手伝わせてよー」

「どうしてもって言うなら……別に良いけど……」

「うん。どうしても手伝いたいなー」

「ありがと……」


 部屋に入るとリュックをベッドに置き……また、ユナちゃんを抱きしめたくなったが、気持ちを抑えた……。


 この気持ちは、おかしいよね……。仲の良い友だちに抱きしめたいっていう感情じゃないよね……?出会った時は可愛いくて好きって思ってたけど……また違う感情も湧いてきてる……


「さぁ……片付けちゃおうかー」

「うん」


 え!?わぁ…………ユナちゃんの可愛い下着!?えっと……どうしよう……ドキドキ……しちゃってるよ!別に……友達の着替えとか……下着を見てもドキドキ……しないのに……なにこれ!?さ、触っちゃっても良いのかな……


「わ、わぁーかわいい下着だねー」


 あー不自然で棒読みなセリフを言っちゃったよ……


「……変かな……?子供っぽい?」

「全然……普通だよ!私の下着と同じじゃん!」


 あれ?ムキになっちゃった……なんだか好きな物を否定されたようで……ムキになっちゃった……


「私が渡すから……しまった場所覚えてね」

「うん……」

「でも、どうして服を取りに行ったの?服が足りなかった?」

「……ううん。違う。これからもずっと一緒に居ても良いって言ってくれたし……衣装ケースも貰ったし……」

 

 服を片付け終わり……チラチラとユナちゃんを見てしまう……。わぁ……気不味いよー!緊張するよー……

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