優しい死神

こた神さま

〜死神からの御挨拶〜




私の名前は、死神。

仮の名前をハーデスとでも申しておきましょうか。


私は、みなさまが想像している死神とは、少し違う。

だって私は、骸骨の顔などしていませんからね。

人間に近い姿とでも申しておきましょう。


昔は、私も黒い馬に乗って、黒いマントを身に着けておりました。

しかし、これでは、すぐに死神だとバレてしまいます。

みなは、私の姿を見て、泣き叫ぶでしょう。

「死神だー!恐ろしい!死にたくない!」と。

そのような声、聞きたくありません。


この世に、生を受けたものは、いつかは死ぬ。

それは、確かな事ですけれど、今から死ぬという者に、更なる恐怖を与えるなんて、私には、とてもとても……。


だって私は、優しい死神ですから。


何れ、あなたの元にも現れるかもしれません。

あなたの命が尽きる時、そっと現れましょう。

そして、安らかな静かな死を与えましょう。


えっ?大鎌は、持っているのか?……って?


当たり前ですよ。

私の商売道具なのですから。


さて、あなたの元へ行く前に、少し寄り道をしてみましょう。


死神の物語へ、ようこそ。

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