大逆転ファミリー!

ナナミン・ビューティー(七七七@男姉)

芋畑の別れ

「…という訳だ。じゃあ、リリィ…元気でな」


 そう言い残し、彼は私の元から去っていった。


 …って、一体どこで別れ話してんのよッ。一緒にイモ掘りに来てする話じゃないっしょ。向こうに園児とかファミリーとかいるしッ…


 なんて、心で叫ぶも虚し。移植ゴテ片手に、ただ立ち尽くしたまま、彼の背中を見送るしかない私、九十九つくもリリィ…22歳であった。


 

 さて、やがてトボトボと私が、自宅の近くまで戻って来るや、なにやら通りすがりの老若男女が、すれ違う度にこっちを拝んでくる。


 んいや、それは別に私が仏像だからとかじゃなくって…まあ、あとでゆっくり説明するわ。もう自宅に着いちゃったことだしさ。


「ただいま〜…」


 古き良き平屋一戸建て。その引き戸をガラガラと開けると共に、


「あら、リリィおかえり。ずいぶん早かったのね」


 たまたま、ここ玄関近くの廊下にいた家族が、私を振り返ってきた。


 

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