終末的日本にて

藻屑暦

第1話 プロローグ

「…いっぴーき…にひーき…てごたえねーなー。」

ぐちゃっ…ぐちゃっ…と肉を叩きつける音が幾度となく繰り返されている。

果たして声の主は人間なのだろうか。

目の前で、肉の大槌を振りかぶって大鬼をミンチにする彼は、本当に人間なのだろうか…?

いや、なんなら、あれは少年…なのか?

「あ、要救護者はっけーん…んーっと、んーっと、無線機どこ行ったっけな…」

ぶつぶつと何かを言いながら自分の体のあちこちを触る少年。

「あぁ、あったあった。『私、怜さん、加賀谷さん。要救護者を発見。要救護者の護衛を最優先に避難所シェルに帰投するの…』」

ジジッ『ふざけてないでさっさと助けてこい。』

「『はいはい!そうするにきまってっしょ!

バーイ!』…っと、君たち、大丈夫かい?

ああ、腰が抜けちゃってんね…そりゃ無理ないわ。滅多に大鬼オーガなんて出てこないしねぇ…

そうだ。僕の自己紹介をしとこう。

名前知ってた方が気軽でしょ?

僕の名前は「加賀谷怜くがやれい」。この先にある避難所シェルで、駆除屋さんしてるんだ。

とりあえず、君ら歩けるかい?」

呆れて声も出ない我々に、にっこり笑った少年のようなナニカはそう名乗った。


彼のいう通り、避難所シェルは1km、という事もなく300m近辺にあったようだ。

近づいてみなければわからなかったが、住居であったであろうコンクリート塊はうずたかく積まれ、避難所シェルを囲むように固められている。

血が抜けてぼぉっとしているのもあるのだろう、

まるで一昔前の砦のようだ、と場違いにも感じた。

「姓名、避難所シェル登録番号、外出理由、帰投理由等述べよ!」

「加賀谷怜、避難所シェル登録番号は0025!

外出理由は避難所シェル近辺2kmの魔物の異常発生の原因究明及び可能な限りの討滅!

帰投理由は要救護者を発見し、8割ほどの討滅を完了していた為、人命救助の観点から要救護者の生命を優先した為であります!」

「真偽眼の反応、青!詐術等の反応なし!」

「よろしい、通れ!」

門も何もなかった箇所に壮大な門が出現する。

それは白亜の門ではなかったものの、質実剛健な、強固な存在感を示していた。


———————————————————————

単語説明:避難所シェル

この魔物跋扈する終末世界における町の概念。

命名理由は災害時に人々が逃げ込む所だから。

連合フォート

避難所シェル群が纏まった組織として運営されている状態のこと。

命名理由は人々を守るフォートだから。

我ながらだいぶ安直ですな…


よろしければ皆様、応援、コメント、☆、レビュー等していただけると本当にありがたいです。

不定期更新を予定しておりますので、

「更新マダー?」や「あくしろよ」等々頂ければ、馬車馬の如く書き上げたいと思います、丸。

PS.この作品は処女作なので、優しくして下さい…

キャッイッチャッタ⁄(⁄ ⁄•⁄ω⁄•⁄ ⁄)⁄テレテレ

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