第3話 すべてはあの物語が原因なのです

「パパそこ、壁の上のほう、クモ! 」

「りほ、見張ってて…網持ってくる」

 僕は手にした殺虫剤を置き網を取りに行きました。


 玄関の脇にいつもおいてあります。

 庭の池の掃除用で目の細かいものです。

 これなら柔軟なクモでも逃げられません。

 あとほうきもね。


 僕はほうきでクモを網まで追い込みます。。


 逃げられないように網に入ったらちょっと返して、網自体で蓋をする感じで…


 玄関から外に出て、網を今度はちゃんと裏返ししてクモを出してやります。


 すごい勢いで逃げるクモ…


「外に出した…? 」

 妻と娘は尊敬のまなざしで僕を見ます。


「うん…出した…」

 ほっとする女性二人。


「本当にパパはクモを殺さないよね…」

「うん…」


 クモは殺さない…

 殺せない…


 すべてはあの物語が原因なのです。

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