第2話 なぜなんだろう
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「なあ、俺たちって見た目がグロテクスらしいな…」
月に一度くらいしか住人が来ない家の屋内にてクモ同志がお話をしています。
「そうらしいな…この前さ、隣の家で奥さんに見つかって悲鳴を上げられたよ…」
「俺もだよ…」
クモ達は少し寂しそうに頭をたれています。
「でもさ…あのシューってやつかけられないよな…」
「そうそう…そうなんだよ…」
「あれさ…ゴキブリなんか粘るけれどやられちゃうんだよな…」
「うん…蚊なんてそれこそイチコロだよ…」
「聞くところによると…けっこう前かららしいんだ…」
「何が…」
「シューってされなくなったの…」
「そうなのか…? 」
「実はシューってなかったころかららしいんだ…」
「シューがなかったころって…」
「かなりかなり昔らしい…昭和って人間が言っているそのはじめのころかららしいんだ…」
「そうなんだ…でもシューがなかったころって…」
「ゴキブリは叩かれたらしいよ…」
「まじ…」
「でも俺たちはそうでもないんだって…」
「そうなのか…」
「不思議じゃないか…グロテクス具合は同じだと思うんだけどな…」
二匹はお互いの姿は眺めあいながら言いました。
「どっちかっていうと…う~ん…俺たちのほうが…」
言葉に詰まるクモ達。
「なぜなんだろう…」
「なぜだろうな…」
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