第31話 かくれんぼ楽しい

 やべええええええええええええええええええ!

 とんでもないメンヘラじゃねえかああああああああああ!

 何あの動き。見えなかったんだけど。


 一体俺は今から何を食わされるんだ。

 逃げるか?

 この部屋には窓がねえ。


 一階に降りると間違いなく気付かれる。

 他の部屋から飛び降りるしかない。

 俺は決心すると、部屋を出ると、向かいに一つの扉を見つける。


 頼む! 窓あってくれ!

 扉を開けると、そこには白骨死体が転がっていた。

 アイヤーーー! 

 俺は速攻で扉を閉める。


 ちょ、マテ茶。幻覚?


 俺ってそこまで疲れているのか?

 いやいやいや。白骨死体なんてある訳ないじゃん。

 ある訳ない、うん。

 俺はもう一度扉を開ける。


 そこにはやはり白骨死体が転がっている。

 ふふふふふふ。

 死体? えっ? 俺もこのままじゃDEATHってこと!?


 ラブコメどころかホラーサスペンスじゃねえかあああああああああああ!

 この部屋以外の窓を探そう。

 俺は周囲を見ると、通路の奥に窓があった。


「助かった!」


 俺は神に感謝をしながら、飛び降りることを決意する。

 俺は窓を開けて顔を出すと、下の階からこちらを見ているクレアと目が合った。


「か……換気したくて」


「静かに、待っててほしい、な?」


「ですよねー」


 俺は静かに窓を閉める。

 逃げられねええええええええええええ!

 隠れるしかねえ。


 俺は窓を開けてここから飛び降りましたよ感を出した後、部屋のクローゼットに隠れる。

 クレアが外を探しに行った後、逃げればいい。

 しばらくした後、上がってくる足音が聞こえる。

 その足音は窓を開けたところで止まる。


 頼む! 騙されてくれええええ。

 その後、クレアの再び下に降りる足音が聞こえる。

 かかったな!

 その後家を出るため、玄関を出る音まで聞こえてきた。


 よしよし。


 このまま逃げるしかねえ。

 俺はクローゼットから顔を出す。

 すると、目の前にはクレアが居た。

 あれ、どゆこと?


「かくれんぼ、楽しかった?」


「うん」


 俺は絶望とともに、観念した。


「一杯愛情込めて作ったから! 食べてね?」


「ありがとー。嬉しいな」


 愛情以外もこもってそうなんですが。

 目の前には色とりどりの大量の料理。

 凄く豪勢で、この美少女から作られたと聞けば殆どの男は大喜びで食べるだろう。


 普通であれば。

 食べたら、俺も白骨死体の仲間入りをする可能性が非常に高い。


「どうしたの? 食べてくれないの?」


「美味しそうなんだけど、今おなかが痛くて……」


 お腹はマジで痛い。ストレスで。

 すると、クレアはぽろぽろと涙を流し始めた。


「食べてくれないんだ。私、前日から頑張って作ったのに。そうだよね。私みたいな女が作った料理なんて食べたくないよね」


 畜生があああああああああ!


「食べよっかなあああああああ!」


 俺はステーキをフォークで刺し、口に運ぶ。

 大丈夫なのか? 分からねえ!

 かつてない緊張が走る。

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