46.『結婚記念、思い出づくり大作戦』のための作戦会議

『ではこれより、獣人夫婦、グレーとシェリの結婚記念、思い出作り作戦のための、作戦会議を始めるます』


『『はい!!』』


 アクアとリルが元気よく返事をする。というか何で2匹まで参加しているんだ?


「これは責任重大ですよ。アクア、リル、しっかりやらなければなりません」


『『はい!!』』


「ガハハハッ!! しっかりと楽しい思い出を作れるようにしてやらないとな!!」


『ではまず、記念の絵についてですが。私に考えがあります』


 私は獣人夫婦のグレーとシェリを見送った後、すぐに関係者を集め、彼らのことについて話した。彼らに特別な思い出を、たくさん作って帰ってもらいたいと。

 すると集まった全員が、その考えに賛同してくれて、今からそのための作戦会議をする所だ。その名も『グレンとシェリの結婚記念、思い出づくり大作戦』だ。


 まず、俺から最初の提案として、絵について皆に話した。狼の獣人は結婚式を挙げる時、彼らだけが着る特別な衣装があるんだけど。


 あの時チラッと聞いたこと。グレー達はどうも結婚式を挙げていないようだったから。もしこの結婚式の衣装を用意できれば、彼らはそれを着て、思い出の絵を描いてもらうことができるかと。


 結婚式を挙げていない話しをしていた時のシェリの表情がさ。笑っているのにとても寂しそうな表情をしていたんだよ。だからもしかしたら、本当はやっぱり結婚式を挙げたかったんじゃないかって。


 だからもしか衣装を用意できたら、喜んでもらえるかと思ったんだ。もし選んでもらえなくとも、そのまま工房メモリーで、普通に貸し出し衣装として使えば良いしな。


「なるほど、それは良いですね。ではそちらの衣装の手配を……」


『はい!! 衣装の用意はボクがする!!』


『はい!! リルも!!』


『アクアとリルが? ちゃんと衣装のことを分かっているのか? ジョナのお店に行って、しっかり話しをしなくちゃダメなんだぞ。それに持ってくる時も、汚さずに丁寧に持ってこないといけないんだからな』


『大丈夫!! 衣装はボクに任せる!!』


『リルもしっかり運ぶ!!』


『だから、まずは衣装も話しを……』


「スケさん、ジョナの所へは私が行くわ。アクアとリルと一緒にね』


『アメーリアさん、邪魔になりませんか?』


「ぜんぜん大丈夫よ。何ならうちの子達よりもしっかりしているもの。それにモデルとしてアクアとリルは、衣装について厳しいでしょうから、この子達にしっかり確認してもらいましょう」


 はぁ、アクアとリルは止めてもいくだろうし。ここは洋服屋のジョナと友人の、アメーリアさんに任せた方が良いだろう。


『では、すみませんがお願いできますから』


「任せて! 衣装の他にも色々見てくるわ」


 衣装のことは、アメーリアさんとアクアとリルに頼むことが決まった。


「では、次は私から。先程確認んしたのですが……」


 次はアマディアスさんからの提案で。グレーさん達は3日後、うちのレストランの1つで、ディナーの予約をしているらしく。そのディナーを簡単な物だが、パーティーに変えないか、というものだった。

 席は一応少し用意するが、立食パーティーにして、ご飯を豪華な物に変え、俺達で簡単にお祝いをしてあげないかと。


 それに絵で使うか分からないが、結婚式用の衣装を用意するだろう? この衣装を着てパーティーに参加してもらえれば。少しは結婚式気分を味わえるのでは? 別にこちらも衣装を着なくても、パーティーだけ楽しんでもらっても良い。


『なるほど、良いですね!!』


「ではパーティーの用意は私が」


「じゃあパーティー会場の方をお前がやってくれるなら、俺はパーティーの食事に必要な食材を仕入れてくるぜ! やっぱり新鮮な物が良いだろう? パーティーは3日後だよな。じゃあ明後日狩りに行ってくる」


『ありがとうございます』


「それまでは、誰かの手伝いでもしてるさ」


「じゃあ、次は私が。おすすめの場所を案内するということでしたので。勿論おすすめの場所は回りますが、ご夫婦に関係する場所にもお連れしますね」


『関係する場所ですか』


「ええ。その場所で愛を誓い合うと、その愛が永遠に続くと言われる、愛の花が咲く滝や。それを見るだけで希望に満ち溢れ、未来を楽しく過ごせるようになると言われている、ホプリスの花畑などです」


『それは良いですね!! そちら、レーノルドさんにお任せしてもよろしいですか?』


「はい、お任せください」


 もともとうちの施設では、施設が広いため、施設を簡単に回って案内するサービスや。森のガイドをやっている。


 時々森のどこで遊ぶのがおすすめか、子供が遊ぶにはどこが良いか? など聞かれることがあったため、ガイドをやってみたところ。思っていた以上にこのガイドを使う人が多くて。ならばと、その部署を作ったんだよ。


 その責任者がレーノルドさんだ。だからグレーさん達の森の案内は、レーノルドさんに任せておけば大丈夫だ。


 こうしてその後も話し合った俺達。何も揉めることも、問題になるようなこともなく、スムーズに色々な事が決まっていき。最後になって、俺はもう1つ、やりたいことをみんなに話した。


 狼の獣人達は、結婚式を挙げる時、大きな肉食魔獣の骨の頭を、ドンッ!! と飾るんだ。それから他の小さな骨も、しっかり周りに飾るんだけど。


 彼ら狼の獣人達は、魔獣を倒し生きる種族。そのため結婚した後も、どんな狩をも成功させ、他に力を示せるように、そして家族皆が食事に困らないようにと。願いを込めて、大きな魔獣の骨を新郎新婦に贈る。


 それを、俺達からのプレゼントにできないかと思って。だって、骨と言ったら俺だろう。完璧な骨を用意できる自信がある。


「なるほど。そちらも良い考えですね」


「スケ、俺も手伝うか? 肉を取りに行くまで、他を手伝うって言ったろ」


『大丈夫です。仲間と一緒に行ってくるので』


「そうか? じゃあ何かあったら呼んでくれ。すぐに駆けつける」


『ありがとうございます』


 贈る骨は、狩ったばかりの魔獣の骨と決められているんだ。だからこれから狩りに出て、骨の用意をしないといけない。ジェラルドさんは手伝うって行ってくれたんだけど、ジェラルドさんだと、骨を粉々に粉砕しそうだからな。


『ではみなさん、これから忙しくなりますが、よろしくお願いします!』


「では私はまず……」


「俺もそっちに……」


「あなたは来ないでください」


 ジェラルドさんが何か手伝おうと、皆に声をかけるが断られている。今からでも狩りに行ってもらうか?

 みんなが部屋から出ていく中、俺はアクアとリルを止めて。さー、アクアとリルにもう1度注意をしたら、俺も仲間の所へ行こう。忙しくなるぞ。

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