F2.織田信良VS明智光月
「ギュリトルで行くか。二人共リンクに上がれ」
悟に言われるがまま、信良と光月はリンクに上がる。
「服を剥ぐだけなのだから、スケート技術は関係ありませんよ」
「それはどうかな? スピードはスケーターの命だよ」
光月の考えを浅いと信良は切り捨てる。果たしてこの勝負、一体どちらに軍配が上がるのだろうか。ちなみにギュリトルとは、フィギュリップバトルの略称だ。ロボットバトル略してロボトルみたいなイメージだ。
「出し惜しみはしない。一撃で終わらせる」
信良は高い跳躍と共に、全く見切れない速度での回転を始めた。回転により浮力が生まれ、地獄のような滞空時間が光月を蝕む。光月の衣服は一気に剥がれていく。ギュリトルとは、相手の衣服を剥ぐことが勝利条件とされる。ゆえにこの勝負は
「信良の勝ち。と言いたいとこだが、引き分けか」
信良の衣服も同時に吹き飛んだ。ゆえにこの勝負は引き分けということになる。はずだったが、
「引き分けかあ……」
「いや信良、案外お前の負けかもな」
「え?」
「光月を見てみろ」
信良が光月の方を向くと、その様子に驚愕した。頬を紅潮させ、涙を湛え、軽く失禁している。
「恥じらい。失態。これらはフィギュリッパーにとっては加点対象だ。しかし、信良のアクセル・ワールドも見事だった。本来はFP100の信良の勝ちだが、SPを加味すると光月は恐らく120といったところか。ゆえに光月の辛勝ということにしておくか」
「アクセル・ワールドを成功させても勝てない……⁉」
「これがフィギュリップだ、信良。百の技を成功させようと、一のエロに敵わないこともある」
「分かりました、私はエロくなります」
光月に負けた信良は、悟に諭されさらに精進することを誓うのだった。最強のフィギュリッパーになるために。フィギュアスケートを辞めたのは間違いではなかったと証明するために。フィギュアスケーター織田信良はもう要らない。ファイヤーフィギュリッパー織田信良の快進撃が始まる。氷を解かして出てくるのは、巨人か、恐竜か。ハチャメチャが押し寄せてくるようなワクワク感に、織田信良の胸はパチパチするばかりだった。
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