黄泉の塔
@TamadomoshiTense
序章:塔
巨大な塔がそびえ立っていた。
周囲には黄色く、不気味な川が流れている。おそらく冥界とか地獄とかであろう。
私は交通事故に巻き込まれ、意識を失っていた。しかし、目を覚ますと、この場所に飛ばされていた。私はわけがわからず、何かわからない希望に動かされ、塔に近づいてみた。しかし、塔の周囲を囲むように川があり、塔に入れなくなっていた。
私はどうしようか考えていたところ、隣に誰か立っていた。顔が見えず、全身を布で覆っていて、まるで冥界の川の渡し守のようであった。
渡し守は、かなり老いた声で、
渡し守「おや、ここに生きているまだ人間がいるとは。」
と言ってきた。
私(え?生きている?私、死んだんじゃないの?)
私が困惑している表情をしていると、渡し守がどこから出したのか、水晶玉を取り出して私に見せてきた。
そこには、私が白い部屋で横になっている姿が映し出されていた。一切目を開ける様子はなかったが、横にある機械が波を描き、私の生きている証拠になっていた。
私「・・・。」
私はなんとも言えない感情になっていた。落ち着いたが、焦りも同時に湧き上がってきた。
どうすれば私は生き返るのだと渡し守に問うと、渡し守は塔を指差し、
渡し守「あの塔を登れば、貴方は元の世界に戻ることが出来ます。」
私は塔に駆け寄ろうとしたところ、渡し守に引き止められた。
渡し守「焦る気持ちはわかりますが、これだけは忠告しておきます。
『決して、自分は誰かを忘れてはならない』
この規則を守れなかった場合、元の世界に戻ることはできなくなります。」
私は深く頷いた。
私はクサカベノリコ、私はクサカベノリコ…
渡し守「では。お気をつけて。」
私は何度も自分の名前を復唱しながら塔に向かっていった。
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