SS -犯罪都市:ルヴェリエ-

 ここにあるのは、形骸化した法律と、仮初めの秩序だけ。


 銃撃戦なんて当たり前、いつもどこかで爆発音が鳴り響いている。

 死にたくなければ武器を取れ。

 歯向かって来る者全員を返り討ちにしろ。

 ここに法はない。

 廃墟から一歩でも足を踏み出せば、蜂の巣になる事を覚悟せよ。


 犯罪都市ルヴェリエとはそういう場所だ。

 ある意味、絶え間なく動き続けているともいえる。

 ある意味、賑やかな街といえる。

 犯罪都市ルヴェリエには、武器を持つ者しかいない。

 武器を持てぬ者は淘汰される。それが犯罪都市ルヴェリエことわり犯罪都市ルヴェリエの地に滞在する限り、このことわりから逃れることはできない。

――――――

Communication Log通信履歴-記録中:10月31日-AM03:02

・状態:通信良好

Communication Log通信履歴の記録:記録中

『ロウズ1、位置に着いた』

『ロウズ2、3、4、5、同じく』

『了解、突入まで、3…2…―――』

【爆発音・ノイズ混入】

『なん……い……な…が!?…ロ………4、おう………よ!ロウズ隊…………よ!』

『お姉…ーん、そっ…終…っ…?』

『な…だ…おま―――』

【発砲音】

『…大丈夫、ちょっと眠ってもらうだけだよ』

Communication Log通信履歴-終了:10月31日-AM03:03

・状態:通信途絶

Communication Log通信履歴の記録:停止

――――――

「ふむ、今回も…ですか」

「はい、に妨害されてしまいました」

「ロウズ隊は?」

「今は意識を失っていますが、命に別状はありません。は相変わらず、非殺傷弾を用いて無力化のみを行っているようです」

「…この期に及んでまだそんなものを作っているところがあるのね」

「えぇ、犯罪都市ルヴェリエの一部市場に非殺傷弾の購入履歴がありました。一応の隠蔽工作は行っていたようですが、かなり杜撰ずさんなものでした」

 …一体、例の姉妹は何の目的があってこんな行動をしているのかしら。



「ん…」

 蛍光灯の光が目に入る。目を閉じた暗さから急に差し込む光に、一度薄く開けた目をまた閉じる。


 ゆっくりと起き上がって、ソファから起き上がる。ブランケットをソファの背もたれにかけて、クッションを座面に置き直す。

東海あずみ、おはよう」

「あ、うん。おはようお姉ちゃん」

 お姉ちゃんがソファの前のローテーブルにマグカップを2つとスマホを置いて、隣に座る。マグカップの中にはコーヒーが入っていた。

「お姉ちゃん、このメールって何?」

「依頼だよ」

「そうなんだ。…見てもいい?」

「うん、いいよ」

 依頼内容を簡潔にまとめると、ピュア・クリミナルとオーダー・クリミナルが武力衝突を起こしそうだから止めろ。

 そんな感じの依頼内容だった。




「…東海あずみ、準備はいい?」

 拳銃のマガジンに非殺傷弾を込める。盾とナイフ、スモークと手榴弾グレネード、それに防弾ベスト…。

 …これだけの物資が集まるのって、いつぶりだっけ。

「うん、ばっちり」

「それじゃあ、行くよ」

「うん」


――――――――

作者's つぶやき:はい、SS1作目は支那しな東海あずみさんのお話でした。犯罪都市、物騒な所にお住まいですね。

ピュア・クリミナル、オーダー・クリミナル、ロウズ隊…色んなところの詳細が欠けていますね。考察は…こんな情報量ではできないと思います。

あと最初のあの『ここにあるのは―――』云々を語ってた人はいったい誰なのでしょう。

まあ、雰囲気だけで書いたSSなので…ご愛嬌と言う事で…。

――――――――

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