第17話 闇の力の抑制と学院の決断
アリスはナイトメアの王との戦闘から数日後、静かな学院の図書室にいた。彼女の目の前には古びた書物が広げられ、その中には様々な魔法に関する情報が詰め込まれていた。クラウスが隣でサポートしてくれているが、彼の顔にも疲労の色が見える。
「アリス、これを見てみて。」クラウスが一冊の巻物を広げた。「ここに書かれていることによると、消えた魔道具が闇の力を抑えるために使われる可能性があるって。」
アリスはその巻物を手に取り、真剣に読み始めた。巻物には、特定の魔道具が如何にして闇の力を封じ込めるか、またその力が悪化するとどうなるかについて詳しく記されていた。
「これが…」アリスは巻物を閉じ、深いため息をついた。「消えた魔道具が私の内なる闇の力を抑えるために必要だったのね。」
クラウスはアリスの表情に気付き、心配そうに尋ねた。「それがどういう意味なの?」
「私がナイトメアの王と戦っていたのは、私の内なる力が制御できなくなっていたからだった。」アリスは、意を決して説明した。「消えた魔道具はその力を抑えるために不可欠だった。それがないことで、ナイトメアの王が私を利用する隙を与えてしまったの。」
クラウスは理解したように頷いた。「なるほど、それでその魔道具を取り戻すことが重要だったわけだ。」
アリスは再び深いため息をついた。「その魔道具を取り戻すためには、まず私の力をコントロールできるようにしなければならない。そうでなければ、このままでは学院も、私自身も危険にさらされる。」
その時、学院の使者がアリスのもとにやってきた。使者は彼女に手紙を渡し、重要な伝達事項を告げた。手紙には、消えた魔道具が他の者によって発見され、返却される準備が整ったことが書かれていた。
「これがその手紙。」アリスはクラウスに手紙を渡しながら、決意を新たにした。「これを受け取った以上、私は自分の過去と向き合うために、学院を去る決断をしなければならない。」
クラウスは驚きの表情を浮かべたが、すぐに理解したように頷いた。「アリス…君がそれを決意した理由は分かる。君の内なる力を制御するためには、学院を離れた方がいいのかもしれない。」
アリスは静かに頷いた。「私は自分の過去と向き合い、闇の力を完全に抑えるための旅に出るわ。この学院での学びは無駄ではなかったけれど、今はその力を制御するために、新たな道を歩む必要があるの。」
クラウスはアリスの決意を尊重し、彼女のために支援を惜しまなかった。「どんな道を選んでも、君の決断を支えるよ。無事に帰ってきてほしい。」
アリスは微笑んで、クラウスに感謝の気持ちを伝えた。彼女は学院の職員や仲間たちに別れを告げ、必要な物資を整えて出発の準備を進めた。消えた魔道具が返却されることを確認し、アリスは自分の内なる闇と向き合うため、新たな旅路へと踏み出す決意を固めた。
学院を去る決断をしたアリスは、過去の影と向き合いながら、自らの力を取り戻し、未来への道を切り開くための冒険へと出発した。彼女の心には希望と決意が満ちており、新たな始まりを迎えるための一歩を踏み出した。
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