第4章: 真実の解明

第16話 自らの影

アリスは魔法学校の地下室で、自分の記憶を辿るための秘密の儀式を行っていた。部屋の中には古びた魔法の道具が整然と並べられ、淡い光がそれらを照らしていた。彼女の心は不安でいっぱいだったが、意を決して儀式を始めることにした。


儀式の開始とともに、アリスの周囲に淡い霧が立ち上り、部屋の空気が一変した。彼女の手のひらに光が集まり、古代の呪文が口から漏れ始める。その呪文が空間に響き渡り、突然、目の前に青白い影が現れた。それはナイトメアの王の姿を模したもので、圧倒的な威圧感を放っていた。


「お前が…」影が言葉を発するその声は、冷たく、かつての記憶を蘇らせるものであった。「アリス、ついに自分の役割を思い出したのか?」


アリスは心臓が激しく鼓動するのを感じた。彼女の手が震え、呪文の言葉が途切れそうになった。「なぜ…なぜ私が…」


影の中から現れたのは、自分が操るナイトメアの王の姿そのものだった。アリスはその姿を見て、過去に触れられた記憶が急速に蘇るのを感じた。彼女は自分がナイトメアの王を操っていたことを、しかしその理由や動機は明確には理解できていなかった。


「どうして私が…」アリスは混乱しながらも問い続けた。「どうして私がそんなことをしたの?」


影はゆっくりと近づき、アリスの目の前で淡い光を放ち始めた。「お前が持っていた力は、世界のバランスを変えるほどのものであった。だが、その力はお前自身を破滅に導くこともある。」


アリスの脳裏には、断片的に過去の記憶がフラッシュバックする。彼女がナイトメアの王を召喚し、その力を使って数々の事件を引き起こしていたシーンが映し出される。彼女が無意識にその力を使っていたこと、そしてその影響で周囲が混乱したことが次々と浮かんでくる。


「自分が…私がナイトメアの王を操っていたなんて…」アリスは絶望感に打ちひしがれながら呟いた。「でも、どうしてそんなことをしたの?」


影は不気味に微笑んで、「お前がその力を使ったのは、心の奥底にある欲望と恐怖が影響していたからだ。魔法の力を操ることはできても、その力がもたらす影響を理解するのは難しい。だが、お前の内なる闇が引き起こしたのだ。」


アリスは膝をつき、涙が頬を伝った。「それでも、私は…私は止めたかった。どうして自分がそんなことをしてしまったのか分からない…」


影はさらに近づき、その声を低くして言った。「過去の自分と向き合い、贖罪の道を歩むことが、お前が再び力を持つ者となるための唯一の道だ。」


アリスは涙を拭い、決意を新たにした。「もし私が過去の自分を乗り越え、贖罪の道を歩むことで、他の人々の助けになるのなら、私はそれを成し遂げる。」


影は頷き、姿を消していった。部屋には再び静寂が戻り、アリスは自分の使命を再確認した。過去の自分が引き起こした混乱と闇に向き合い、真実を暴き、贖罪のために尽力することを決意した。


これからの戦いは、自分自身との戦いでもある。アリスは心の中で自分に誓いを立て、これからどのようにして自らの過去と向き合い、贖罪を果たしていくのか、その道を歩む決意を固めた。

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