3. 謎の調査

第11話 証言の断片

アリスとクラウスは、ポスターで告知された目撃者の情報を元に、事件の新たな証拠を探すために活動を開始した。彼らはまず、図書館に戻り、ポスターの情報に基づいて目撃者の証言を収集するための計画を立てた。


「キャンディスの言う通り、目撃者の証言がアリスの無実を証明する手助けになるかもしれない」とクラウスは言った。彼はノートにメモを取りながら、次に何をすべきかを考えていた。「まずは、目撃者のリストを作って、誰がどこで何を見たのかを詳しく聞く必要がある。」


アリスは頷き、手元の資料を整理しながら言った。「リストに載っている目撃者の中には、私たちが以前から知っている人もいれば、まったく新しい人物もいるわ。まずは、既知の人物から話を聞いてみましょう。」


二人はまず、ポスターに記載されていた目撃者の中で、学校内でよく見かける生徒から話を聞くことに決めた。彼らは目撃者として名前が挙げられていた生徒のひとり、リリィに会いに行った。リリィは学校の図書館でよく見かける生徒であり、アリスたちが話を聞きやすい相手だった。


リリィは図書館の隅で勉強していた。アリスとクラウスが彼女に近づくと、リリィは少し驚いた様子で顔を上げた。


「アリスさん、クラウスさん、どうしたのですか?」リリィはやや緊張した声で訊ねた。


「実は、最近の事件について新たな証言を集めているんです」とアリスは説明した。「ポスターで目撃者として名前が挙げられていたので、お話を伺いたいと思って。」


リリィは少し考え込みながら、深呼吸をした。「わかりました。お話ししますが、私が見たのはあまりはっきりしたものではありません。」


アリスとクラウスはリリィに席を譲り、彼女が話し始めるのを待った。


「その夜、私は図書館で勉強していたんです。すると、何か不安な気配を感じました。振り向くと、何かが速く通り過ぎるのが見えました。影のようなもので、すぐに消えてしまいました。」リリィは困惑した様子で話した。「その影が何だったのかはわかりませんが、その後に事件が起こったので気になっています。」


アリスとクラウスはリリィの話を真剣に聞き、さらに詳しく尋ねた。「その影がどの方向に消えたのか、何か他に気になることはありませんでしたか?」


リリィは考え込みながら答えた。「影が消えた方向は図書館の奥、古い書物が保管されているエリアでした。その後、その場所に何か不自然なことがあったのかもしれません。」


アリスはリリィの話をメモしながら、クラウスと顔を見合わせた。「古い書物が保管されているエリア…そこにはまだ行ったことがないわね。私たちが調査するべき場所かもしれない。」


リリィは少し安堵した様子で続けた。「それと、もうひとつ思い出しました。事件があった夜、誰かが図書館の近くで騒いでいるのを聞いた気がします。でも、その声が誰のものかはわからなかったんです。」


アリスはリリィの証言をさらに詳しく検討するために、図書館の奥にある古い書物のエリアに向かうことに決めた。リリィの言葉が示すように、そのエリアに何か重要な手がかりが隠されている可能性があると感じたからだ。


「ありがとう、リリィさん。情報を提供してくれて助かりました。」アリスは感謝の気持ちを込めて言った。「私たちはこれからそのエリアを調査してみます。」


リリィは頷き、アリスとクラウスが図書館の奥へと向かうのを見送った。二人は、リリィの証言が真実の手がかりになることを期待しながら、古い書物のエリアに向かって歩き始めた。


図書館の奥にあるそのエリアには、埃をかぶった古びた書物や巻物が並んでいた。アリスとクラウスは、リリィの言葉を思い出しながら、慎重に調査を進めた。古い書物の中に隠された手がかりや、事件に関連する証拠が見つかることを願いながら、彼らは調査を続けるのだった。

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