初デートの調味料は、彼女の白ワンピース

 休日の朝、俺は爽やかな服装を考え、どこに行くのかを計画していた。


 今日は朝日南とのデート……童貞の俺にとって、女の子と休日に出かけるなんて夢のような話だった。


 正直、不安しかないが、俺を選んでくれたんだ。


 持ち物を確認した後、俺は街に向かった。


 10時に駅前に集合することになっている。


 少し早く、俺は駅に着いた。


 女の子よりも早く来るのは男として当然だろう。


 街は休日だからなのか、人が多く賑わっていた。


 家族連れ、カップル、友人同士など様々だ。


 俺は駅前でスマホを見ながら周りを見る。


 なんだか、落ち着かない。


 いつも以上にドキドキする。


 朝日南がどんな服を着てくるのか……見慣れた制服姿とは違った可愛い彼女を見れる。


「……どうしよう、緊張してきた」


「何が緊張してるの?」


「え、うわ!?」


 俺は背後から声をかけられて、驚いてしまった。


 振り向くと、俺の肩に手を乗せて指を頬に当てながら、クスっと微笑んでいる朝日南がいたのだ。


 彼女は白いワンピースに、薄手の青い上着を羽織っている。


 左手首に俺がプレゼントしたブレスレットをつけて、可愛らしいミニショルダーバッグを肩にかけていた。


 朝日南の私服姿……めちゃくちゃ可愛い。


 スカートから見える脚は白くて細い。


 朝日南のスタイルの良さがわかる。


 靴はヒールを履いていて、普段よりも少し身長が高くなっていた。


 いつも以上に綺麗で可愛く見える。


 俺は思わず見とれて、ポカンとした顔をしながらも顔、耳……全身に熱を帯びていた。


「ふふ、どうしたの?」


「あ、え……えっと……私服姿の朝日南、すごく新鮮で……め、めちゃくちゃ可愛い……です」


「あら、ありがとう……ん」


 いきなり朝日南は俺の頬にキスをした。


 柔らかい唇の感触が伝わって、それまでなんとか安定させていた心が乱された。


「な、なな……なにを!?」


「ふふ、可愛いわね望月君……」


 朝日南はクスっと笑いながら、俺をからかう。


 わざとらしいことをするのも、相変わらずだった。


 どうやら、休日でも俺はからかわれる運命にあるようだ。


 今のは、完全に予想以上だ。


 からかわれる覚悟はしていたが、不意打ちだったので計画していたプランも忘れてしまった。


「望月君もおしゃれだよ。半袖の上着、下には白いTシャツ。上着は水色だから、爽やかに見えるね。ズボン、靴は黒……うん、良いんじゃない。男子高校生らしい格好だと思うよ」


「あ、ありがとう……」


「腕時計もおしゃれだよね。バッグはウエストポーチ……望月君、普段、誰かと買い物したことある?」


「え、ないけど?」


「そう……てっきり、望月君のことだから、オタクぽい服で来るのかと思っていたけど」


「オタクぽい服って……たしかに俺はライトノベル読んでいるけど、そこまでオタクじゃないよ」


「ふふ、冗談。本当にかっこいいよ」


「お、おう……あ、ありがとう……」


 なんか……照れるな。


 けど、これはこれで良いな。


 普段とは違ったお互いの私服姿を見られて、なんだか新鮮な気持ちになる。


 朝日南は……本当に可愛いな。


 こんなに可愛い子と休日デートできるなんて、俺は幸せものだ!!


「じゃあ……そろそろ、行く?」


「ええ、そうね。けど、その前に……」


「え……ちょ!?」


 朝日南は突然、俺の手を握って来た。


 指を絡めて、体を近づける。


「ふふ、いつも手握っているでしょ?」


「……そ、そうだな」


「あれぇ?もしかして、緊張してる?」


「あ、当たり前だろ……で、デートなんだし……」


「ふふ……可愛い」


 朝日南は微笑みながら、俺の手を握ったまま歩き出す。


 俺は彼女に引っ張られながら、駅に向かうのだった。

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