第3話 初めてのボランティア
あきらの日常は、少しずつ変わり始めていた。感情日記を公開することで、彼のブログには少しずつ読者が増え、コメント欄には共感の声や励ましのメッセージが並ぶようになった。そんなある日、宮田さんが新たな提案を持ちかけてきた。
「最近、地域でボランティア活動が盛んになっているんです。あきらさんも一緒に参加してみませんか?」
最初は戸惑ったあきらだったが、宮田さんの提案に興味を持った。外の世界と繋がる一歩として、ボランティア活動はいい機会かもしれないと感じたのだ。
「わかりました。やってみます。」
その週末、あきらは宮田さんと一緒に地域の公園で行われる清掃活動に参加することになった。ボランティア当日、緊張しながらも期待を胸に公園に向かうあきら。到着すると、既に多くの人々が集まっており、和気あいあいとした雰囲気が漂っていた。
「おはようございます!」宮田さんの元気な声があきらを迎え、彼は一緒に作業するメンバーと挨拶を交わした。
最初はぎこちない手つきでゴミを拾い始めたあきらだったが、次第にリズムが掴めてきた。周囲の人々と話すうちに緊張もほぐれ、自然と笑顔がこぼれるようになった。
「よく来てくれましたね。名前はあきらさんでしたね?」
一人の中年男性が声をかけてきた。彼はこの地域で長くボランティア活動をしている田中さんだった。
「はい、あきらです。初めての参加なんですけど、皆さんとても親切で…」
田中さんはにっこりと笑い、「そうですか。ここはみんなが助け合う場所ですからね。無理せず、自分のペースでやってください。」と答えた。
その言葉にあきらは安心感を覚えた。自分もこのコミュニティの一員として受け入れられていると感じ、少しずつ自信が湧いてきた。
作業を終えた後、みんなで軽食を取りながら談笑する時間が設けられた。あきらは他のメンバーと話をしながら、様々な背景を持つ人々と触れ合うことの大切さを感じた。
「今日は本当に来てよかったです。」あきらは宮田さんに感謝の気持ちを伝えた。
「それはよかったです、あきらさん。こうして少しずつ新しい経験を積み重ねていくことが大切なんです。これからも一緒に頑張りましょう。」
あきらはその言葉に力を得て、これからもボランティア活動に参加し続けることを決意した。彼の感情日記には、その日の出来事や新たな気づきが綴られた。読者たちは、あきらの成長と変化を温かく見守り、励ましのメッセージを送ってくれた。
その夜、あきらは初めてのボランティア体験を振り返りながら、感情日記にこう書き綴った。
「今日はボランティア活動に参加しました。最初は不安だったけど、皆さんの温かさに触れて、自分も少しずつ変わっていける気がしました。これからも新しい経験を積み重ねて、自分を成長させていきたいと思います。」
その投稿には、多くの共感と励ましのコメントが寄せられた。あきらの新たな一歩が、また一つ確実に前進していた。彼の心には、宮田さんやボランティア活動を通じて得た希望が、確かな形で芽生えていた。
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