あきらの、感情ノート
星咲 紗和(ほしざき さわ)
プロローグ
あきらは小さなアパートの一室で、薄暗いカーテンの隙間から差し込む僅かな光を眺めていた。外の世界とは断絶されたその空間で、彼は一日中ベッドの上で過ごすことが日常となっていた。厳しい家庭環境と学校でのいじめ、職場での罵倒が彼の心に深い傷を残し、引きこもり生活を選ぶしかなかった。
毎日が同じように過ぎ去り、何も変わらない日々に閉じ込められたあきら。しかし、ある日、彼のもとに一通の手紙が届いた。それは訪問ヘルパーのサービスを紹介する案内だった。最初は興味もなく、ただのチラシだと思って捨てようとしたが、「あなたの心に寄り添います」という一文が彼の心に引っかかった。
意を決して訪問ヘルパーを依頼することにしたあきら。玄関のチャイムが鳴り、扉を開けると、そこには優しい笑顔の宮田さんが立っていた。宮田さんの温かさに触れ、少しずつ心を開いていくあきら。彼の新たな一歩が、ここから始まるのだった。
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