第10話 夫は寝ぼけていた。

ある金曜の夜、週の疲れを抱えながら寝室の灯りを消す。

夫「おやすみー」

妻「おやすみー」

夫「スヤァ…スヤァ…」

妻(あ、夫さんもう寝てるんだ…。一週間がんばってたからなあ…)

夫「ぁ゙ー」

 闇の中から激低音ビブラート付き。妻ビビる。

妻「なに、なに、どうしたのっ!?」

夫「…俺なんかしたぁー?」

妻「なんかじゃねー!いきなり『ぁ゙ー』って。なんか具合悪いのかと思ったよお」

夫「それほっといていーから。そういうこともあるから」

妻「あるんかいな。…まあ大丈夫ならほっとくけど…」

夫「…スヤァ…」

妻「だいじょぶだあ」


翌朝。

妻「エントリーナンバーワン!夫さんの真似しまーす!ぁ゙ー」

夫「…うるさいなあ…」

 ちょっと照れくさそうな夫。

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