執行官なる殺し屋

@AI_isekai

狂信者編

第0話 プロローグ

 ドラグニア国の中心にある巨大な都「ドーラ」に存在し、多くの人々を管理し、仕事を斡旋しているギルド本部。

 そして、本部から直接地下通路によって繋がっているギルド支部のうちの1つ「ノースドーラ」の地下にある扉には「筆頭執行官室」と書かれたプレートがあった。

 

 その「筆頭執行官室」に向かう小さな足音が迷路とも言える地下廊で2人分響く。

 

 1人は、床にまで届く炎のような紅蓮の髪とルビーのような瞳をもつ女性で、白く美しい神官服を着ていた。

 彼女の名は、エンシェ、永遠の生命の古龍エンシェントドラゴンと言われる神話の時代から生きるドラゴンである。


 そんな彼女の前を歩くもう1人は、銀色に光る髪と鋭く光るサファイアのような瞳を持った女で、黒を基調としたドレスのようなものを着用している。

 彼女の名はレイン・アルカイト、ギルド支部「ノースドーラ」にいる総員100名の執行官を束ねる"筆頭執行官"である。


 執行官とは、自らの力を振りかざし人の世の秩序を乱す存在を『殺す』者だ。

 魔王と呼ばれる世界を破滅に追い込む存在として名高い"それ"は、標的殺す者の代表例でもある。

 

 執行官達にはある条件の元、依頼暗殺が斡旋される。

 

 国,ギルドの法に逆らう存在。

 国,ギルドの脅威になる存在。

 国,ギルドの秘密を知る存在。

 

 この3つのどれか1つにでも当てはまり、"法執行機関"が対応できない強大な力を持つ存在が執行官達の標的となる。

 

 その中には――『筆頭依頼』という代物が存在している。

 『依頼』とは異なり、通常の執行官では対応不可とされた"特級案件"。



 

 そして、『筆頭依頼』と呼ばれるそれは————執行官の中で四人しか居ない筆頭執行官の私の元へと届く。

 

 私は、部屋に入ると、エンシェを左に控えさせ、机の上にある依頼書へ手を伸ばす。

 私に届いた 『筆頭依頼』は――――『エルド宗教』の破壊だった。

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