第2章: 夢の世界の危機

第3話 異変の兆し

夢見は毎晩、夢の世界「ドリームスケープ」に足を踏み入れるようになってから、現実世界での生活にも変化を感じ始めていた。学校の授業中や日常のふとした瞬間に、夢の中での出来事が頭をよぎることが多くなったのだ。


ある晩、夢見は再びドリームスケープに入り、ルナと会うことにした。彼は夢の中で自分の力を試し、少しずつコントロールできるようになってきたが、その夜はいつもとは違う雰囲気を感じ取った。


夢見は広大な花畑に立っていた。しかし、いつもは鮮やかに咲き誇る花々が、どこかくすんで見えた。風は冷たく、空には不穏な雲が漂っていた。


「何かが変だ…」夢見は心の中で呟いた。


その時、ルナが姿を現した。彼女の表情はいつもと違い、どこか緊張感が漂っていた。


「夢見、来てくれてありがとう。」ルナは早速話し始めた。「実は、ドリームスケープに異変が起きているの。」


「異変?」夢見は驚いた。「何が起きているんだ?」


「最近、この世界の力が不安定になってきているの。花が枯れ、空が曇り、風が冷たくなってきているのを感じているでしょう?」ルナは続けた。「これはただの自然現象ではないわ。何かがこの世界に悪影響を及ぼしているの。」


「どうすればいいんだ?」夢見は焦りを感じながら尋ねた。


「まずは原因を突き止める必要があるわ。私たちだけでは難しいかもしれないけれど、あなたの力があればきっと何か手がかりを見つけられるはず。」ルナは夢見の目を見つめた。「私と一緒に来て。ある場所に行きたいの。」


夢見はルナの後を追い、花畑を抜けて森の中へと進んでいった。森は薄暗く、何か不気味な気配が漂っていた。


しばらく歩くと、二人は古びた神殿の前にたどり着いた。神殿は苔むし、長い年月を経たような雰囲気が漂っていた。


「ここは…?」夢見は神殿を見上げながら尋ねた。


「ここはドリームスケープの力の源泉の一つ、夢の神殿よ。」ルナは説明した。「この神殿には、この世界を守るための古い知識が詰まっているの。」


二人は神殿の中に入り、奥へと進んでいった。内部は広大で、壁には古代の文字が刻まれていた。


「この文字は何て書いてあるんだ?」夢見は興味津々に壁を見つめた。


「これは古代の言葉で書かれていて、夢の力について記されているわ。」ルナは一つの文字を指差しながら説明した。「ここには、夢の力を安定させる方法や、異変が起きた時の対処法が書かれているの。」


「それで、今の異変に対処する方法は見つかりそうなのか?」夢見は期待を込めて尋ねた。


「まだ分からないけれど、手がかりはここにあるはずよ。」ルナは決意を込めて言った。「私たちでこの文字を解読して、異変の原因を突き止めましょう。」


夢見はルナと協力して文字を解読し始めた。時間が経つにつれて、少しずつ古代の知識が明らかになっていった。


「ここに、夢の力を安定させるための儀式について書かれているわ。」ルナは興奮気味に言った。「でも、その儀式を行うためには特別なアイテムが必要なの。」


「特別なアイテム…?」夢見は疑問を抱いた。


「そうよ。それは『夢の宝珠』と呼ばれるもので、この神殿のどこかに隠されているはずなの。」ルナは続けた。「私たちでその宝珠を見つけなければならないわ。」


夢見はルナと共に神殿の中を探索し、宝珠を見つけ出すために全力を尽くす決意をした。ドリームスケープの危機を救うための冒険が、今始まろうとしていた。


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