第2話  新たな現実

夢見は目を覚ました。見慣れた自分の部屋の天井を見上げながら、昨夜の夢があまりにも現実的だったことに驚いた。彼はベッドから起き上がり、夢の中で感じた手の感触やルナの言葉を思い出した。


「本当に、あれはただの夢だったのか…?」夢見は自問しながら、朝の支度を始めた。


学校に着くと、夢見は友人の大地(だいち)に昨夜の夢の話をしてみることにした。大地は夢見の幼馴染であり、彼の話をよく聞いてくれる理解者だった。


「おはよう、大地。」夢見は教室で待っていた大地に声をかけた。


「おはよう、夢見。なんだか顔色が悪いな。何かあったのか?」大地は心配そうに尋ねた。


「実はさ、昨夜また変な夢を見たんだ。」夢見は昨夜の出来事を詳しく話し始めた。「夢の中で、ルナっていう銀髪の少女に会って、夢と現実を越える力があるって言われたんだ。」


大地は興味津々に聞いていたが、話が進むにつれて少し眉をひそめた。「それって、ただの夢じゃないのか?確かにリアルな夢を見たことはあるけど、現実とつながっているなんて…」


「僕もそう思ったんだけど、あまりにもリアルだったんだ。まるで本当に別の世界にいたみたいで…」夢見は困惑しながら言った。


「そうだな、もしかしたら何かの暗示かもしれないな。夢占いとか、そういうのに詳しい人に聞いてみるのもいいかも。」大地はアドバイスをした。


「そうだね。ありがとう、大地。とにかく、今日は普通に過ごしてみるよ。」夢見は少し安心したように微笑んだ。


その日の授業は普通に進んだが、夢見の心は昨夜の夢のことでいっぱいだった。放課後、彼は家に帰る途中でふと立ち止まった。何かが彼を呼び寄せるような感覚があったのだ。


「何だろう、この感じ…?」夢見は周囲を見渡した。彼の視線の先には、小さな公園があった。公園の中心には古びた噴水があり、その周りには誰もいなかった。


夢見はその噴水に近づくと、不思議なことに夢の中で感じた力が再び蘇ってきた。彼は噴水の縁に手を置き、目を閉じてみた。すると、ルナの声が頭の中に響いた。


「夢見、あなたが現実世界でもその力を使えることを証明してみせるわ。」


夢見は驚いて目を開けたが、周囲には誰もいなかった。彼は再び目を閉じ、集中しようと試みた。すると、手のひらから暖かいエネルギーが噴水に流れ込むのを感じた。


「これは…本当に、僕の力なのか?」夢見は自分の手を見つめながら呟いた。


その瞬間、噴水の水が静かに揺れ始め、小さな波紋が広がった。夢見は驚きのあまり息を呑んだ。


「これが、夢と現実を越える力…」彼は信じられない思いで自分の手を見つめ続けた。


その晩、夢見は再び夢の世界へと誘われた。彼はルナと再会し、彼女に現実世界で起きた出来事を話した。


「やっぱり、あなたにはその力があるのね。」ルナは満足そうに頷いた。「これから、もっとその力を磨いていく必要があるわ。夢見、あなたの旅はまだ始まったばかりよ。」


「わかった。僕はこの力をもっと理解して、使いこなせるようになる。」夢見は決意を新たにした。


「その意気よ。」ルナは微笑んだ。「さあ、次のステップに進みましょう。」


夢見の冒険は始まったばかりだった。彼の持つ特別な力が、どんな未来を切り拓いていくのか。夢と現実の境界を越える旅が、これからどのように展開していくのか。夢見の心には、新たな決意と期待が渦巻いていた。


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