旅人
あじフライ
第1話
1話「この世界」
…父が、死んだ。
…この世は理解不能なものである
ちっぽけな葬儀場の中、父の死を目の前に麗也は思った。
この国(功翔)の地位の高い奴等は、ただ自分たちの利益ため、国民を騙している。
「魔法は我々の脅威となりうる存在で、我らの安全のために決して我が国に入れてはならぬ物である」なんて…
魔法…こんな国にいる限り詳しいことは知らないが、人間の特殊な脳波によってどんなエネルギーにも変えられるエネルギーらしい。
とても素晴らしいものじゃないか。…まぁどうせ、自分たちがやっている事…この国の国民の利用と洗脳、それに支障が出ると思うから禁じているだけなんだろうな。
結局自分たちだけの利益と地位が最優先ですか、あいつらは。
この国、功翔は、確かに優れている…ほとんどのことは機械が済ませてくれるし、医療技術もかなり発展している。
…ただ、自由がないんだ。
給料も一律、食料も配給制、物の規格はすべて同じ。
…ここだけ見ればまだいいだろう。
「まだ」ね。
国外へ行くのは禁止、魔法を使うのは禁止、
たったこの2つの法だ、だけど、この法が嫌いなんだよ。
こんな努力のしがいもないし、便利なエネルギーも使わない国に、永遠に搾取されなきゃなんねぇからな。
…それに、父さん…父さんは…
…いっそこんなクソみたいな法でも破って国外へ行こう。
と、そう心に決めた。
1話 終
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コラム
この世界における歴史
大昔、全世界で戦争が起こった。
その戦争は勢いを増し、ついには核戦争にまで発展した。
途方も無い数の死者、損害をもたらしたその戦争は、麗也たちが生きる時代には忘れ去られていた。
その戦争後、人々は偶然にもひとつのエネルギーを見つける。
そのエネルギーは、力学、熱、電気、化学などの全てのエネルギーに、ある遺伝子を持つ者が発する特殊な脳波によって変化するという驚きの性質を持っていたのである。
核戦争によってできた物なのか、はたまた神からの慈悲なのか、それは謎のままである。
その後人々は、使い方はあやふやだが、そのエネルギーを扱い、世界を再建していった。
その過程で、人々は過ちを繰り返さぬよう、文明の利器というものの多くを捨てて、後世には残さなかった。
また、政治や利益を得るうえでの戦争という手段も後世に伝えないため、戦争の歴史も語り継がれなかった。
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