第1話 レッツラテレポート!

ダンジョン

大昔から存在している謎の物。

─────────────────────


「皆様初めまして、わたくし新人探索配信者のヨイと申しますわ」


石造りの薄暗い通路で、とても綺麗で長い黒色の髪が特徴の少女が所謂お嬢様言葉でドローンに向かって挨拶をする。


「さて、私は現在ラビリンスに来ていますわ!」


ラビリンス、ダンジョンの一つで迷宮型ダンジョン。

このダンジョンは階層に別れており、現在ヨイがいるのは第一層、現在87階まで攻略されているが、それ以降下が存在するダンジョン。


『新人探索者でしょ?こんな高レベルなダンジョンが初ダンジョンで大丈夫なの?』


現在、ダンジョンやスキルによる魔法科学で様々な物のレベルが上がっており、このドローンもその一種。

配信が出来たりする他に、なんとAIが自動で選んだコメントを読み上げてくれる


「何故新人の私がこんな高レベルなダンジョンにいるのか、という疑問にお答えしますね」


ダンジョンの難易度もピンからキリまであり、流石に子供が完全安全と言えるようなダンジョンはないものの、高校生なら素手でも攻略出来てしまうものや、何個もダンジョンを攻略しているようなプロでも即死するようなダンジョンもある。

ラビリンスは難易度は高め、現在も攻略されていない為上級者向けのダンジョンとなっているのだ。


「私、今回…LV1転移チャレンジをやりますわ」


『?!』

『やめておけ!』

『あーあ、またバカが出たよ』


lv1転移チャレンジとは、レベル1、つまり初ダンジョン探索の時に転移トラップにわざと掛かり、そこから自力で戻ってくる、と言うものだ。

転移トラップはダンジョン内のどこかにランダムでテレポートさせる…という非常に悪質なトラップの為、本来なら近づく探索者など居ないのだが…偶にこうやって謎のチャレンジをして行く探索者がいるのだ。


「ふっふっふ…皆様私が失敗すると思っているようですわね…」


『そりゃあね?』

『まぁ、ただの転移チャレンジならまだしも、レベル1だからな…』


レベル1転移チャレンジ、と出してから確実に増え続けている同時接続数をみながら、ヨイが続ける。


「ではご覧なさい!これが私のステータスですわ!」


ヨイ:名前隠蔽中

LV:1

職業【アイテム使い】

HP 30/30 MP37/37


ATK:4

DEF:5

AGT:8

MATK:8

MDEF:7

LUK:15


【職業スキル】

〈装備強化lv1〉〈道具強化lv1〉

【スキル】

パッシブ:〈AGT強化lv1〉〈自己再生リジェネ・ヒールlv1〉

アクティブ:〈|鑑定lv1〉〈毒生成lv1〉〈植物魔法lv1〉〈復讐炎ベンジェンス・チャージlv1〉


『なんか…スキル多くね?』

『普通スキルってモンスター倒したりしないと手に入れられないよね?どうやったの?』


「ふっふっふっ…全部お金でスキルオーブを買いましたわ!」


『スキルオーブってめちゃくちゃ高くない??!よくこんな揃えたね』


「まあ、そこはプライベートが関わってくるので追求しないでもらえると助かりますわ」


『そうか。でも、これならもしかして行けるんじゃないか?レベル1転移チャレンジ3人目の成功者に』

『いやーどうだろう、まだスキルのレベルが低いからな…何個か強力なスキルがあると言え、もし50層以降の深層に落ちたらだいぶきついんじゃないか?』


「まぁ、そこはもう運ゲーですわね…と、着きましたわ」


歩きながら話していたらいつの間にか転移トラップに着いていた。


「さて、それじゃあ現世、早ければまた明日、遅ければまたいつか…いって来ますわ」


ドローンに表示される同接が1000人を超えるのを確認して、ヨイは転移トラップに入って行くのであった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る