カノジョ1人?

天川裕司

カノジョ1人?

タイトル:カノジョ1人?


俺の友人の男は稀代のナンパ師。

最寄りの引っ掛け橋というところに毎夜現れては、

「ヘイ!カ〜ノジョ♪お茶しない?」

「どっか楽しいとこ行こうぜ♪」

なんて適当な言葉をベラベラ並べ、

女をその気にさせてかっさらっていく。


俺ははっきり言ってこの友人があまり好きじゃなかったが、

小学校からの同級生で、そのよしみもあって

「遊びに行こう♪」なんて誘われたら

ついつい断れず、とりあえず行ってしまう。


でもある時、本当に行かなきゃよかった、

と思える恐怖に出会った。


いつものようにそいつから電話がかかってきて

「今から飲みにいかね?」

と言ってきたので、とりあえず飲むだけだったら

なんて軽く応え、近くの飲み屋に行った。


でも案の定、行ってしばらく酒を飲んでると

友人「はぁ〜あ、なんか女引っ掛けたくなってきたなぁ〜」

なんていつもの調子になってしまい、

それで俺は「帰る」と言ったが、

「ここまで来たんだからついてこいよ♪」

なんて無理やり連れて行かれた。


そしてあの橋まで行って、

「ヘイ♪カ〜ノジョ♪」

いつもの調子で女をひっかけ始めた。


その時、

「おい見ろよ、あそこに立ってる女、結構イイ女だぜ?行こうぜ」

と橋の手すりの所で誰かを待っていたんだろうか、

じっと立ってる女が1人いた。

確かにそこら辺を歩いてるヤツより綺麗な女。


「俺はやめとく、1人で行って来いよ」

とさんざん渋っても結局連れて行かれる。


そしてその女の前まで来て、

「ヘイ♪カ〜ノジョ♪今1人?」

と友人はいつもの調子で女に聞いた。

すると女は…


「…私が2人に見えますか?…そっか。2人居れば声を掛けなかったのねあなた。じゃあこうすればもっと声なんて掛けられないかな?」


友人を少しうっとうしがるような口調でそう言った彼女は、

指をパチンと鳴らした瞬間…


友人・俺「うわっ…!うわあぁあ!!」


ダーーーっと無数ほどの自分の分身を俺たちに見せてきて、

ニヤ〜〜っと笑った。

女はずっとそのまま佇んでたようだが、

いきなりの事だったので

俺たちは慌てて一目散に逃げてしまった。

だからそのあと彼女がどうなったのかは知らない。


友人「ハァハァ…あ、あれ、何だったんだよ」

俺「さ、さあ…」


あの女の正体は未だによくわからない。

ただその噂だけは、あの橋に広まっていた。


動画はこちら(^^♪

https://www.youtube.com/watch?v=Lx2q1rrB_vc

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

カノジョ1人? 天川裕司 @tenkawayuji

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ