何のひねりもない

天川裕司

何のひねりもない

タイトル:何のひねりもない


本当に、女は怖い生き物だ。

俺が結婚した嫁、その嫁がまさかあんな正体の持ち主だったとは。


結婚する前、俺は密かに或る1人の女性と浮気してしまった。

でもそれは俺からしたんじゃなく、

向こうから襲うようにやって来たのだ。

こんな場合でも…

・本当はヤリたかったんだろ?

・女のせいにしてんじゃねーよw

・男らしくないね

なんて言って、男はつらいよを

地(じ)で行かせようとでもするんだろう。


でも実際その段になれば、男は無抵抗に近い。

或る密室で女が色仕掛けで迫ってくりゃ、

大抵の男はその女の色気に掛かるだろう。

10人いればそう、7人は罠にハマるんじゃないか?


そんな時でも聖人君子を保てるような

聖人が、果たしてどれだけ居るだろう。

俺ははっきり、居ないと思う。


もし居るとすれば、それはもうこの世の人生を捨て、

本当に聖人として自分の身を捧げ、

心も悟りの境地を開いたような、

そんな文字通りの仙人のような存在ではないか。


そんなのがどこに居る?

犯罪が連発している世の中だ。

今更気取りは無しにしようぜw


俺がナナコと結婚するとわかったあいつは、

捨て身になって迫ってきた。

元々そういう性格の持ち主だったんだ。

冗談じゃない、あんな女に会わなきゃよかった。


そしてナナコと結婚した後、

今度はナナコがその正体を現し始めた。

おそらくあいつから浮気の真相を聞いたんだなぁ。


その瞬間から俺を見る目つきが変わり、

日常生活にて、奇妙なことが起き始めた。

普通の会話にしても、鋭い言葉を遣ってくる。

挙句の果ては俺を無視する素振りを続け、

結婚して間もなく離婚の兆しが見えてきた。


事の経過を1つも聞かずに、あいつも勝手な奴だ。

そして極めつけは…


ナナコ「さぁ召し上がれ。あなたの好きなオニオンスープよ」


いつになく機嫌が良い。

でもそのスープはやけに色が赤い。

皿の底が見えないほど。

スプーンで作ったとき、カチンと音がした。

中から指輪をはめた女の指が出てきた。


ナナコ「見覚えある?その指。あんたの好きだった女の指よ?」


どうやらおどけて指輪をはめ、

俺に罪の意識を感じさせようとしたらしい。


次の瞬間、いきなりやった。

ナナコは床に倒れ、動かなくなった。

「ざまぁみろ。さぁこれ以上何かしてみろよ。え?どうした?」


そのとき俺の背後に亡霊のようなものが現れた。

俺は直感でそいつを知っている。俺の欲望の分身だ。


欲望の分身「理性を失い、常識を初めから無くした男と言うのは、そんな女より遥かに怖いものね。腕力がある分w」


言う通り、俺は否定もしなかった。

そして日常に返って行こうとした時、邪魔が入った。


動画はこちら(^^♪

https://www.youtube.com/watch?v=zDLIV4U_02A

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何のひねりもない 天川裕司 @tenkawayuji

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