Four Farewells

かけふら

Prologue

 その魔王が勇者率いる4人に討伐されたのはアリオス(*1)の10年の4月(*2)のことである。犠牲者200人以上、王朝始まって以来の大事件の解決に選ばれた彼らは5か月にも及ぶ旅路で見事魔物の恐怖を打ち倒してみせた。


 後世まで語り継がれるその4人は勇者、戦士、魔法使い、僧侶であり、それぞれノウェルス、ゲレグビー、ロマナ、ベレラである。


 自らが討伐に行けない後ろめたさか、はたまたパフォーマンスか、アリオスは帰還先で拍手喝采を浴びる4人に大量のお金(*3)を渡し、また年金の支給も約束した。


 4人はヘルム朝の領土の中で、隣国にいささか近いほどの西の出身であり、首都でのいくつかの式典の後、馬車を拝領しまた四人で故郷へと向かっていた。




(*1)アリオスはヘルム朝の5代目王。本名アリオス・シュネバ・ヘルム。アリオスは名前、シュネバは神の名前、ヘルムは姓であり、海外のミドルネームに近い。


(*2)この世界での暦の概念はグレゴリオ暦とほぼ一緒であるが、満ち欠けを「昇の月」と「沈の月」で1年24か月としている。原文では「アリオスの10年の7月」


(*3)この世界での通貨システムは金貨・銀貨及びその価値に裏付けられた兌換紙幣。ノウェルスらは貨幣と紙幣を半分ずつ拝領している。

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