第14話
別に?たまには彼女らしいことしてあげてもいいかなぁって思っただけだし?
たまたま早く起きただけだし?
昨日のことでこいつやっぱり良い奴かも…なんて思ったからじゃないし?
練習してるところを邪魔するのも悪いし、部室に差し入れを置いて立ち去ろうと思っていたのに…
「こんなことしていいのかよ」
部室の隅で、コソコソこいつらは何をしてるんだ?
「いいんだって。あいつ生意気なんだよ。先輩を差し置いて試合に出るなんて。なんで俺がベンチなんだよ」
あぁ、そういうこと。
負けた腹いせに嫌がらせを…
「あいつのいい所なんて顔だけなのにな」
「はは、言えてる」
何それ…黙って聞いてれば、適当なこと言いやがって。
「あんた達なにしてんの?」
「は?誰だお前」
「海斗の彼女だけど」
「あー、あんたが噂の彼女ね。どんな美女かと思ったら…なんだ案外普通なんだ。」
「はは、駄目だろ。ほんとのこと言ったら」
なんだこの失礼な奴らは。
落ち着け…落ち着け…
怒るだけ無駄だ…
「…それ海斗のスパイクですよね?何してるんですか」
「何って、使えないように切り刻んでんの。見たら分かんねぇ?」
なんでお前が偉そうにしてんだよ。
「そんな小作な真似して、プライド傷つかないんですか」
「プライドねぇ。あいつのせいで俺のメンツは丸つぶれ。その代償だよ。所詮、顔だけのくせに」
顔顔顔顔って、
いや、もうこんな奴に敬語使うだけ勿体ない。
「さっきから顔だけって言うけど、逆にあんたは何がある訳?」
人を罵ること以外取り柄のない奴が、偉そうにしてんじゃねぇよ。
「は?」
「顔が悪かったら性格ぐらいどうにかする必要あると思うけど?顔も性格も悪いのに、海斗のこととやかく言う権利ありますぅ?」
「お前…!」
「それに、あいつは顔だけじゃない」
「はっ。じゃあ、それ以外に何があるのか言ってみろよ」
「…確かに、愛想ないし冷たいし?たまにものすごくムカついて頭はたいてやりたくなる時もあるけど、それ以上に一生懸命で努力家で、凄いやつなんだから!」
「あいつが努力家…?んなわけないだろ。可哀想に。お前も上手く丸め込まれたんだな」
丸め込むねぇ。
「はぁ。誰よりも朝早く練習に来て遅くまで残って練習して。それを努力と呼ばないならなんて言うんですか?」
「それは、」
「負けて悔しいのは分かるけど思ってもないこと言わない方がいいですよ。みっともないので貴方の方こそ可哀想」
「女だからって黙って聞いてたら調子に乗りやがって…!」
そう言って、手を上げた。
あぁ、なんかこれ、見たことあるな。
デジャブか。
二回目だから、むしろ冷静でいられる。
あ、でも男だからこの前より痛いかもなぁ。
このままボコボコにされて、跡形もなく消えるんだろうな…
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