【書きかけ公開】読みたいけど読めない『おとなの雑誌』(仮)
カレンちゃんが『おとなの雑誌』に出ているらしい。
今月の最新号に新人女優枠で特集されているとかなんとか、ネットニュースの記事で見かけた。
ドラマで見たカレンちゃんのあの太ももも十分魅力的だけど、それ以外のところも見えてしまうんじゃないかと思うと、ソワソワドキドキして顔が熱くなった。
ぼくは今まで、その手の雑誌を見たことがないわけじゃない。ぼくの学校の男子なら多分全員読んでるし、休み時間の教室やロッカーでも、闇取引みたいにこっそり貸し借りが行われているのは知ってる。
それなのに、どうしてこんなにドキドキするんだろう?
憧れのカレンちゃんだから?
それとも、もしかしたら、「憧れのカレンちゃんに会うための試練を乗り越える」ことにワクワクドキドキしているのかもしれない。
早く会いたい。
「待っててね、カレンちゃん!」
ぼくは絶対に、絶対に絶対にその雑誌を手に入れなきゃいけないと決心した。
そうと決まれば、ぼくは早速行動に移った。
実際の入手方法として考えられるのは、おとなしく自分で購入するか、誰かに借りるかだ。
書店にいっても、未成年のぼくには売ってくれないだろうし(ぼくの容姿が成人男性に見える自信はない)、かといって電子版を買おうと思っても、ぼくはクレジットカードは持っていなかったから、お母さんの許可が必要だった。
「何買うの?」って聞かれでもしたら、雑誌の表紙画面を見られでもしたら、素直に白状できる自信はない。いくらぼくだって、そういう雑誌を買いたいって言い出すのは勇気がいるし恥ずかしかった。そういうわけで、カレンちゃんに会いたいくせにカッコ悪いかもしれないけど、買うのは一旦除外した。
それなら借りるのは?
ぼくの学校では新号を持っている人は少ない。回ってくるのはいつも中古か、ずっと前に誰かのお兄さんの私物だったやつのお下がりだ。
だけど、そんなことじゃ諦められない。
ぼくは絶対に、カレンちゃんと会わないといけなかった。
チャーリーぱいせんをはじめ男友だちのグループチャットに手当たり次第メッセージを入れまくった。
こういう時の男子の結束と言ったら、それはそれは、とても強い。女の子たちの想像とはちがうかもしれないけど。
ぼくが思っていたよりもすぐに借りるあてが見つかった。
神様、ありがとう!
やっぱり、未成年の男の子だからって「そういう雑誌を見ちゃいけない」なんていうのは嘘だったんだね?!
雑誌が届くのを待っている間、ぼくはベッドの上で飛んだり、跳ねたり、騒いだりしながら喜びのダンスを踊っていた。
*****
ぼくは早速、カレンちゃんの雑誌(以後、そう呼ぶことにする)と対峙した。
あれだけ楽しみにしていたはずなのに、いざとなるとなかなかページをめくる勇気が出ない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます