自由くんと
文化祭が終わって、はや1週間。
私と自由くんは、手を繋いで歩道を歩いていた。
あのあと、あのひどいことを言ってきた男子たちは、他校の人だったと判明。
だけど、自由くんの耳のことはあっという間に学校中に広まった。
学校側も知らなかったので、校長先生に呼び出されたり、興味本位で見にきた人たちに囲まれたりと、ドタバタの日々。
けれど、学校が、音を文字で出してくれるアプリが入ったタブレットを渡してくれたことで、自由くんは無事、授業を受けられるようになった。
本人は、あんまり嬉しそうじゃないけどね。授業とかめんどくさいって。
あと、クラスに人たちも、自由くんの事情を知って、協力してくれることが多くなった。
無視していたのも、訳があったとわかって、誤解が解けたみたい。
そんなこんなで、自由くんはさらに注目の的。
私としては、複雑というか……。
そのとき、急にぐいっとあごを上げられたかと思うと、自由くんの顔のドアップ。
そして、ふにっとした感覚。
『よ、自由くん、ここ外!!』
『だからなに。なんか、葵色が上の空だったから』
してやったり、という表情で笑う自由くん。
今ので、不安が一気に吹き飛んだよ。
自由くんは、私の小さな表情の変化に気づいてくれる。
これからも、そのずーっとずっと先も、そんな君の隣で、一緒に笑えますように。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます