IOOIIIOIOIOOIIIOOIIO
エリー.ファー
IOOIIIOIOIOOIIIOOIIO
水物を持ってきて下さい。
うん、そう。それだ。
ありがとうね。
いやぁ、美味しい。
凄く美味しいよ。
うん、酔っぱらいそうだよ。
いやいや、ね。
もう、酔ってるんだけどもね。
あっちに寄って、こっちに寄って、で、最後はこんなに寄っちゃって。
あぁ、もう、たまったもんじゃないよねぇ。
だって、ほら、あの、なんだ。
あれだ、それ、あれだよ、あれ。
お昼だから。
うん、お昼になったからさ。
ねぇ、どうなってもいいんだ。
うん、だって、朝じゃないし、夜でもないから。
だって。
ほら、お上が言ったんだろう。
昼に水物を飲んだら縛り首だって、そうだろう。
さっきねぇ、飲まされちゃったから。
うん、ここに来る前にね。
じゃあ、しょうがないなぁ、死ぬんだから最後くらい水物をたらふく、なんて思うよねぇ、普通は。
まぁ、そういうことよ。
水物で体いっぱい、胸いっぱい、最高の気分で水物を味わいたいってねぇ。
そりゃあ、こちとら江戸っ子ですから。
どんなところでも命を張ってますからねぇ。
江戸に水物とくりゃあ、江戸っ子冥利に裸足で先陣、月にすっぽん、銚子にご飯とくりゃあ、闇雲三寸、胸八寸、飛翔の理、びっくり仰天七分千座画、鏡が渕の臼井天神皇宮如来の私見美走行東宮とくりゃあ、矢鱈山麦未曽有の決行、消費地微地気が佐那麦虫、八丁干して二尺三八升、九升並べて水八蜂に付けては二十九八升読んで八寸八馬多和南城和凪未見。
まぁ、いいじゃねぇか。
こういうことよ。
これがいいのよ。
こうやって食っちゃべってる内に、水物が温くなった。おらぁ、これくらいのやつが好きなんだ。熱いのはダメだよ、舌を火傷しちまう。冷たいのはダメだよ、胃を冷やしちまう。子どもが飲むわけじゃなくて、大人が飲むんだから、別にいいだろうって、そんなバカ言っちゃいけねぇよ、バカはおよしなってんだ、このバカ。
ててんててんっ、とくりゃ、酔いどれ歩きじゃ。
祭囃子じゃ、ほれ、バカ、このバカ、酔わなきゃ死ぬぞ、死ななきゃ酔えぬぞ。
それ、バカ。
死ね、バカ。
ぶっ殺すぞ、バカ。
クソバカ。
死ね、バカ。
酔わせろ、バカ。
かかあ、が自殺して二年だぞ、バカ。
お上が訳のわかんねぇ、きまりをだして、女で学があるやつは、危険だから殺すって、そんな話があるかバカ。
こっちは、生きてんだぞ、バカ。
かかあと一緒に生きる未来を頭に想像しながら歩いてたんだぞ、このバカ。
いいか、バカ。
ぶっ殺してやる、このバカ。
死ね、バカ。
この国なんて亡んじまえばいいんだ、死ねバカ。
死ねっ、クソっ、死ねっ、バカ。
お上は、自分のことを神だとでも思ってんのか、クソが。
死ね、バカ。
いい加減にしろ、バカ。
え。
死んでない。
じゃあ、なんで俺にはかかあがいねぇんだ。
え。
お前に、かかあがいた瞬間なんてない、だと。
え。
おらぁ、かかあと一緒に飯も食ったぞ、寝たし、肩も揉んでやって。
全部、嘘。
頭の中に作っちまった作り話なのか、これ。
え。おらのかかあ、どこだ。
いないとか嘘つくんじゃねぇよ。
いるんだよ、かかあがいるんだ。
俺にはいるっ。
俺にはいるんだぁっ。
こういうのも全部、お上が悪いっ。
全部、お上が悪いっ。
おらぁ、かかあがいる世界を生きてたのに、お上のせいで、現実に引き戻されたっ。
俺にっ、現実を見せるっ、お上がっ、全部っ、悪いぃっ。
ひっ、ひいぃっ。
お上っ、最悪っ。
お上がっ、全部っ、全部っ、悪いからっ、おらがあぁっ、損してるんだあぁっ。
IOOIIIOIOIOOIIIOOIIO エリー.ファー @eri-far-
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます