論破屋さん
みなもとあるた
論破屋さん
「あなたさっき言いましたよね?論破されるバカな方が悪いんだって。じゃあ私が正しくてあなたが間違ってるんですよね?あなたは論破されたんですから」
「ですけど…その…」
「なんですか?さっきあなた自身が言っていたことを否定するんですか?あんなに自信満々だったのに?ということは、あなたの発言は常に矛盾しているってことですか?」
「でも、いくら何でも…」
「なんだろう、こっちは『はい』か『いいえ』で答えられる質問をしてるんですけど。どっちかで答えてくれませんか?」
「だからって、人殺しが正しいことなわけないじゃないですか…」
「え?さっきの議論の内容を忘れたんですか?『人殺しは正しいことである』という私の主張に対して、あなたは自信満々で否定してきましたよね?その結果どうなったか覚えてます?あなたは私に対して合理的な反論が一切できず、一方的に論破されてましたよね?ということは、『人殺しは正しい』という結論で間違いないんじゃないですか?」
「でも普通に考えたら…」
「普通って何ですか?結論はさっき議論した通りですよね?合理的な結論が出ているのに感情論を振りかざすのはやめてほしいんですけど」
「やっぱり何かの間違いでは…それに法律の問題とか…」
「あれ?今法律の話してましたっけ?関係ない話で議論をはぐらかすのはやめてもらえませんか?」
「でも、人殺しが正しいなんて直感的には…」
「え?議論より直感が優先されるんですか?だったらさっきの議論は何だったんですか?」
「じゃあ、本当に人殺しは正しいことだって言うんですか?」
「質問を質問で返すのはやめてほしいんですけど。それに、その話はさっきからずっとしてますよね?」
「そんな…じゃあ本当に…」
「ほら、結論は出たんですから早く行動に移してください。『人殺しは正しい』、そして『人は正しいことをするべき』。だったら、今あなたがするべきことは一つですよね?」
「い、嫌だ…俺は…!」
「嫌なんですか?だったら、『子供と大人のどちらを狙うべきか』、『家族と他人のどちらを狙うべきか』についても議論しましょうか?まあ、あなたがどちらの立場を選んだとしても、私は完璧に論破できますけどね」
「そ、それは、それだけは…」
「それとも、『より苦痛を伴う殺し方の方が優れている』という私の主張に対して反論してもらいましょうかね?私を論破出来なければそれが正しいことになりますけど、それでもいいですか?」
論破屋さん みなもとあるた @minamoto_aruta
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