フタしめて?

 くるみのやつは、オレの誕生日に本当に瓶詰めされたくるみをくれた。

 

 

 しかも可愛くラッピングまでして…。

 

 

 いや、くるみ本人がリボンをからだにって…んなわけない。

 

 いかん、あんまりアネが変態だからついオレまで脳内変態になってきているじゃないかっ‼︎

 

 

「それにしても僚が健康志向だと思わなかったよ〜。くるみって食べるとめっちゃカラダにいいんだよねー」

 と、なんの疑いもせずくるみをくれるなんて…。

 

 

 やっぱり、大量のアホとおバカがカラダを巡っているんじゃなかろかと少し心配になるレベルである。

 

 

 一応ありがとうとお礼を述べておいた。

 

 

 

「くるみは?誕生日なに欲しい?」

 とお礼がてら聞いてみた。

 

 

 そしたらまさかの…

 

「……りょう」

 と言った。

 

 え?オレ⁇

 

 

 …

 

 しばらく沈黙が訪れた。

 

 

 ⁇

 

「あの…ねーさんや?いま…なんて?」

 

 とりあえずもう一度聞いてみることにした。

 

 そしたら、やっぱり

「りょう一択でしょ」

 と言った。

 

 …

 

 ⁇

 

 えーっと…

 

 まさか急に告白された⁇

 

 あなたがいればなんにもいりません的な⁉︎

 

 これは両思いってやつですか⁉︎

 

 心臓をバクバクはしゃがせながら聞いた。

 

 

「オ、オレ?」

 と。

 

 するとくるみがポカン顔で

「ん?何が⁇」

 と聞いてきた。

 

「りょうって…その…」

 

 恐る恐る両思いの確認をしていこうじゃありませんか!

 

 くるみは、いつのまにかオレを好きになっていたんですね?

 

 そういうことっすね?

 と、今にも踊りだしたいし、答えが正解ならば、即座に抱きしめますよ‼︎

 

 といった状態でした。

 

 

 しかし、くるみのやつはいきなり…

 

「やっぱりもらうなら質よりも量でしょ⁉︎」

 と言ったんです。

 

 りょうって…あの量ね。

 

 

「あー、食いしん坊のくるみは、たくさんのお菓子をくれって言ってるんだな。まったく…自分の名前にも食いもんが入ってるからって、マジ食い意地のオバケだな‼︎いや、くるみモンスターだな‼︎」

 と言ってやった。

 

 

「え、そんな怒んなくても…お小遣いの範囲で安いのたくさんでいいからね?ごめん。なんか…おとうとに催促するなんてお姉ちゃん失格かな?」

 と、申し訳ない顔をしだした。

 

 …

 

「くるみは、確かに変態だし食い意地半端ねーし、ねーちゃんに向いてないかもな。なら、今からあんたさんは、オレのいもうとってことで。おい、いもうとや、肩揉んで」

 

 と、肩をパシパシして催促してみた。

 

 そしたら、くるみは…

 

「は?アネは、アネなんですー‼︎」

 といい、肩を揉むどころか頭をパシコンとされてしまった。

 

 …

 

 クソが‼︎

 

 

 だいたいくるみが紛らわしいこと言い出すから悪いんじゃないか‼︎

 

 

 ってか、なんだよ⁉︎

 その頭パシコンってさ‼︎

 

 めっちゃ優しくやるじゃんか‼︎

 

 猫の甘噛みみたいじゃねーかよ‼︎

 

 くすぐるな‼︎オレの心をくすぐるんじゃねー‼︎

 

 

 …

 

 

「くるみ…」

「なに?」

「バーカ‼︎」

 

 

 ほんとは大好きすぎるー‼︎って言いたいけど言えないから思いっきりバカと言ってやった。

 

 

 …

 

 なんか疲れる…。

 

 心に無理矢理フタをするって…こんなに辛いことなんですね。

 

 

 フタをしめなきゃダメですか?

 

 …

 

「なぁ、くるみ」

「なに?またバカって言いたいの?それよりフタしめなさいよ?」

 

 と、いきなりくるみがいうからびっくりした。 

 

 まさかくるみって…エスパーなん⁉︎

 

 オレの心をよめるんじゃね⁉︎

 

 と驚いていると…

 

「くるみ、しけちゃうよ?」

 と、さっきもらった瓶をみた。

 

 …

 

「あー、そういうことね。」

「そ、シケたら美味しくないからね」

 と、にっこりした。

 

 …

 

 なんだよ…そのかわいい笑顔…。

 

 やめろよ‼︎

 

 ムダにキュンキュンしちまうだろーが‼︎

 

 

「くるみは、永遠にしけた顔しとけ」

 と言いながら、オレはくるみの瓶をしめた。

 

「はぁ?意味わかんないから」

 とオレをじっとりみた。

 

 …

 

 そんなにじっとオレをみるとキスしてしまいそうなんですけど…

 

 

「くるみ…黙れ。」

 

「いや、黙ってますけど?」

 

「顔がうるさい。」

 

「はぁ?まったく失礼なおとうとだよねー。あ、宿題あるんだった」

 と、立ち上がってくるみは部屋へと帰っていったのでありました。

 

 

 

 まったく…

 

 かわいすぎ…

 

 

 続く。

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