宰相解雇されたので国を興しました。

@satomi1112

第1話

「おぉ~~~愛しの我が娘~~~!!!」

「なんですか?珍しく酔ってるみたいですね?こんな時間に家に居るのも珍しい」

「そうなんだよぉ。陛下に「この可愛いメラニーがいるから、今日でお前はクビ!」って言われたんだよぉ~~」

「そうですか、ついにあのバカ陛下がしでかしましたか。やれやれですね。まったくどれだけ我が家が尻拭いをしてきたと思ってるんでしょうか?」

うちはキラリ公爵家。お父様は現在は酔っぱらい状態だけど、本来はこの国の宰相。つまり、バカ陛下が宰相のクビ宣言をしたという話だ。


「お父様、いっその事‘他国へ行く’若しくは、‘新しい国を興す’というのはどうでしょうか?どのみち、バカ陛下と顔だけ宰相ではこの国の行く末も知れたものです」

お父様の酔いが醒めてきたようでいつものように頭が切れる宰相モードになってきたようです。

「お前の言う通りだな。そうだな、あのバカ陛下が援助を申し入れるような、大国を興そうか?」


お父様は元・宰相。私サンは国の義務となる学園を首席で卒業する才女。この公爵家を継ぐ予定であるお兄様は、只今ライレルク王国に留学中。もうすぐ帰国予定。お母様は残念ながら亡くなっています。私がまだ3才くらいのときでしょうか?


お父様は宰相時に培った人脈を用いて大国との太いパイプを作り上げていった。東方の国に本拠地がある『ラルク商会』からは国を興す際の援助を確約していただいている。ライレルク王国を本拠地とする『バード商会』からも国を興す際の援助を確約していただいている。どちらの商会とも商会に渡って長く付き合っていく話をしている


私はお父様の秘書としてお父様のスケジュール管理・調整などを行っている。将来的には宰相でしょうか?と、お父様に話すと

「何を言っている!お前は王女殿下だ。悪いなぁ、政略結婚になるだろう」

貴族として生まれた以上、政略結婚など覚悟の上です。

お兄様は『王子殿下』でしょうか?今、家で使えている使用人たちも一気に王宮仕えの使用人となるんですね。


お兄様は『王子殿下』にまでなるとは思ってもいなかったようで、優秀な方ですがどこか抜けているんでしょうか?

「俺…ライレルク王国で留学中に彼女できたんだけど?」と。

その彼女は国母となる覚悟がある方なんでしょうか?

お兄様は『王子殿下』です。次期国王、王太子です。

「お兄様、その辺は彼女さんと要相談で」ということになった。


お父様が所有している土地は領地ですが、これは王家に借りていると言ってしまえばそれまでなので、そこら辺は2つの商会が土地を工面したくれた。

お父様が宰相を辞めてからというもの、急速に国が衰退したようで、簡単に土地を購入できたようです。


その土地を用いてお父様は国を興した。

「国というものは意外と簡単に興せるもんなんだな」とお父様は言いますが、それはお父様の人脈あってこそです。

‘国’として、主要各国が認めてくれないといけませんからね。

晴れてお父様は、国王陛下。私は王女殿下。お兄様は王子殿下となった。

王宮は急ピッチで制作中。うちで働いていた使用人はそのまま王宮仕えの使用人となる。

前いた国は急速に衰退しているようで、前から付き合いのある貴族が多数、わが国の所属となる。まぁ国を捨てて、この国に来ている。領民には申し訳ない。

わが国には公爵家はまだないので侯爵家が貴族としてはトップとなる。

侯爵家も国を捨てるってかなり異常事態だけど?

と、少しは心配してしまうのだけど?




ついに求めていた時がやってきた。

以前所属していた国からの使者が「援助してほしい」と言ってきた。

援助を申し出るのならば、本人が来るべきだと思うのだけど?まだプライドだけは山のようだなぁ。

お父様も「本人が来たなら援助を考える」と返事をした。


あくまで‘援助(・・)を(・)考える(・・・)’だけで援助するわけではない。むしろ自分を切った相手に援助する気などない。あのバカ陛下に頭を下げさせたいだけだ。




バカ陛下がゴート王国にやってきた。

「なんだ。ゴート王国の国王はお前か」

態度悪い。その態度だけで援助をする気など失せる。

「新興王国って聞いたから簡単に懐柔できると思ったが、お前が国王とはな。ハハハハハ」

何が面白いのかしら?

「では援助は必要ないということですね?」

「っ!それとこれとは話が違うっ」

バカ陛下が必死だなぁ。腕にメラニーさんくっつけてるし。どこまでバカ陛下なんだろう?

「どのようにお考えで?」

「お前なんかが国王なんだろう?タカが知れている。援助しろよ!」

「フフフ、お帰り願いましょう」

お父様が手を叩くと、なんだかゴツイ人が二人現われて、バカ陛下とその付属を国境の外まで連れて行った。

「本当は塩をまきたいくらいなんだがなぁ」

「塩?」

「東方ではそのような習慣があるらしい」

さすがはお父様、博識です。



その後は他の国にも援助は望めず、以前いた国は我がゴート王国に吸収されることとなった。その際バカ陛下とその付属は平民となった。生きていけなかろうと自業自得。

ゴート王国は西に海があるので海産物が取れる。

その線からも2つの商会から重宝される。



そういえば、最後まであのバカ陛下は頭を下げなかったなぁ。国の存亡よりも自身のプライドを取ったんだな。その時点で国王の器じゃない。なんで国王なんだろう?あぁ、そう言えば!バカ陛下がまだバカ皇太子だった段階で国王が崩御されたんだ。指名されたわけじゃないんだなぁ。いろんな意味でご愁傷様。


お兄様は彼女がお兄様が王子殿下であることを受け入れて、王妃教育を全力でこなし、結婚することとなった。

私はというと、お父様じゃなくて陛下がなかなか私の婚約者を決めて下さらないので、このままだと、適齢期を超えてしまいそうです。



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