第17話






「んんっ、っ、」


飲みすぎた…頭が痛い。


というか、ここはどこ…。昨日蓮と飲んで…


あぁ、そうだ。私が酔っ払って、家には帰りたくないって言い出したんだ。


てことは、ここは蓮の家?


いや、蓮の家は何回か行ったことあるけど、こんな部屋じゃなかったような…


リフォームした?か、私の知らない間に引っ越した?


「起きたか」


「迷惑かけてごめんね、蓮…っ、社長!?」


ちょっと待って。


どうしてここに社長が、いや待ってどういうこと。


頭を整理…いや、できるか!


落ち着け…落ち着け…だめだ、頭が回らない。


「はい。水飲んで」


水…。水?水ってなんだ。


いや、水は水か。やばい。


まだ酔っ払ってるのか、私。


「あ、ありがとうございます。えっと、どうして私が社長のご自宅に…?」


「昨日のこと覚えてないのか?」

「覚えてないです…」


私は何か社長に粗相を…?

いや、そもそもどうして社長が?


蓮と二人きりでお酒を飲んでいたはずなのに。


「たまたま見かけて。お持ち帰りされそうになってかたから」


「お持ち帰り…」


お持ち帰りを頼んだのは私の方なのに。


「いつもなのか」

「え?」


「いつも、そんな隙だらけなの」


「隙…?」

蓮と私は隙がないぐらい仲良いけど。


「だから、」


そう言うと、社長は私の肩を強く押し、私はベッドに倒れ込んだ。


「っ、」


社長の吐息が顔にかかる。


社長の綺麗な顔がすぐ近くにある。


「こういうこと、よくあるのかって聞いてるの」


「な、いです」


ちょっと待って、どういう状況?

近い。とにかく近い。


「ふーん」


私の髪を指に絡ませながら、目を合わせてくる。

っ、駄目だ。目を合わせるな。


手を伸ばしたくなる。


「しゃ、社長、」


恥ずかしくなって目を逸らしても、社長はその視線を逃さずに捕らえてくる。


「何」


どうして社長はこんな状況でも平然としていられるんだろうか。


「ち、近いです」


私なんて、どこを見てもドキドキするのに。


社長の目も、鼻も、口も、全部が愛おしい。


駄目だ…社長の唇見てたら吸い込まれそう。

知らぬまにキスしちゃいそうだ。


やばい、どこを見れば…


「ふっ、」


「え、」


社長が笑った…


もう二度と笑顔を見れないと思っていたのに。


どうしよう。泣きそう。


「悪い。からかい過ぎた」


「い、いえ…」


今のは一体何だったんだ…


は、まさか…


私と結婚すれば、璦と縁ができるとかそういう魂胆か、?


もしかして私狙われてる?


そんなに璦が好きか…?


「えっと、その…ご迷惑をおかけしてすみませんでした。これで失礼『朝ごはん食べてから帰れば』え、」



やばい。


確実に狙われてる。

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