第20話

図書室を出て歩いていると、夕方の柔らかな光が校庭を照らしていた。


ゆっくりと歩きながら、何も言わずにただ一緒にいる時間を楽しんだ。


「心桜ちゃん、大丈夫…?」


遥希くんが優しく尋ねる。


「もう分からない、」

正直に答える。


離れたのは私なのに、

分かって離れたはずなのに、


勝手に嫉妬して、悲しくなって


「そうだよね。でも、無理しないでね。僕はいつでも心桜ちゃんの味方だから」


遥希くんは微笑んだ。


「ありがとう、遥希くん」


さっきの光景がまた頭をよぎってきて


胸が締め付けられるような感覚に襲われたが、すぐに視線をそらした。


「心桜ちゃん、大丈夫?」

そんな私を見て、遥希くんが心配そうに尋ねる。


「うん、大丈夫。ありがとう」


「じゃあ、今日はどこかに行こうか?気分転換に」

遥希くんが提案する。


「そうだね、どこか行きたいな」


このまま家に帰っても、どうせ落ち着かない。


「じゃあ、カフェにでも行こうか。美味しいケーキがあるところを知ってるんだ」

遥希くんは楽しそうに言った。


「うん、行きたい!」


二人でカフェに向かう途中、私は少しずつ心の中のざわめきが落ち着いていくのを感じた。


遥希くんと一緒にいることで、少しずつ前向きな気持ちを取り戻していくことができた。



___





「ここだよ」


と遥希くんが指差したのは、オシャレ外観のカフェだった。


木製のドアを開けると、店内には温かみのある照明と心地よい音楽が流れていた。


「わあ、素敵なカフェだね」


私は思わず感嘆の声を上げた。


「でしょ?ここ、僕のお気に入りなんだ」


私たちは窓際の席に座り、メニューを開いた。ケーキやドリンクの写真が美味しそうに並んでいる。


「何にする?」

「うーん、どれも美味しそうで迷っちゃうな」


私は悩んだ末に、チョコレートケーキとカフェラテを選んだ。


「じゃあ、僕はベリーチーズケーキと紅茶にしようかな」

と遥希くんも注文を決めた。


注文を終えると、私たちはしばらく店内の雰囲気を楽しんだ。


柔らかな音楽と香ばしいコーヒーの香りが、心をリラックスさせてくれる。


「このお店、コーヒーが有名なんだけど、ケーキもすごく美味しいんだよ。人通りが少ないところにあるから、知る人ぞ知る名店なんだって」


「穴場なんだね」


しばらくして、注文したケーキとドリンクが運ばれてきた。


チョコレートケーキは濃厚で、口の中でとろけるような美味しさだった。


「美味しい!」

と私は感動しながら言った。


「よかった。ここ、本当に美味しいんだよね」

遥希くんも満足そうにケーキを食べていた。


「遥希くん、連れてきてくれてありがとう。」





「どういたしまして。心桜ちゃんが笑顔でいられるなら、それだけで僕は嬉しいよ」

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