第16話

「最近一緒にいる男の子がいるでしょ、?」

「それって、遥希くんのことだよね」


どうして、遥希くんの話が出てくるの?

今は関係ないよね、


「よく一緒にいるところを見かけるから」

「ちょ、ちょっと待って」


だから今、柊先輩が言いたいのは、私が目移りしてるって、そういう事…?


まさか、最近先輩のことを避けてたのは、私が遥希くんのことを好きになったからって、思われてた?


「美桜、」


私は、思わず後ずさりした。


柊先輩に、信じてもらえてないって知ってショックだったから。


「だから、先輩が言いたいことは、私が浮気してるって、そういうこと、ですか、」


私は驚きと戸惑いを隠せずに言った。


「いや、そういうわけじゃないよ。ただ、最近の美桜の様子を見て、何か変わったのかなって思っただけで…」


柊先輩の声は少し弱々しく、どこか寂しげだった。


勘違いさせてしまうようなこと、したかな。


この前、お昼ご飯の誘いを断って、遥希くんと食べたから…?


「遥希くんとはただの友達だよ。彼とは何もない。先輩とのことと…だから、私が柊先輩と距離を置こうとしたことと、遥希くんは全く関係ない」


私は必死に説明した。


先輩と離れると決断したのは、他の誰でもない。


私自身だ。


「…そっか、」

「それじゃあ、『ごめん。だけど、俺は美桜と距離を置きたくない』」


柊先輩の言葉に、私は一瞬息を呑んだ。


彼の真剣な眼差しが私を捉えて離さない。


「先輩…」


簡単には分かってくれないだろう。とは思っていたけど、、


「俺は美桜のことが本当に大切なんだよ。だから、美桜が何を考えているのか、ちゃんと知りたい。もし、俺が何か間違っていたなら、直すから。教えて欲しい」


間違っていたら…か。


別に、幼馴染を助けたいと思うことは間違いなんかじゃない。


だからこそ、苦しいんだ。


先輩は間違ったことをしていないのに、責めてしまう私が嫌いなんだ。


自分のことを嫌いと思ってしまうことが嫌なんだ。


「先輩は何も間違っていない。ただ、私が自分の気持ちを整理する時間が必要なだけだから」

私は静かに言った。


「どうしても、距離を置かないといけないの?」

「え?」


「…美桜を誰にも取られたくないんだ」

「誰も取らないよ」


誰が取るって言うのよ、


「遥希くんは…?」


さっきから、どうして遥希くんが出てくるの。

まだ、納得してないの?


「だから、遥希くんとは何にもないって言ってるじゃん」


これ以上、どうやって説明すれば、


「そう思ってるのは美桜だけかもしれないよ」




…何それ、

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