プールサイド

ヤマシタ アキヒロ

第1話

  プールサイド



日差しはいいな

あたたかい


プールサイドで

甲羅干し


冷えた体に

降りそそぐ


日差しはいいな

あたたかい


午後の太陽

ジリジリと


プールサイドを

照らしてる


熱い地面に

腹をつけ


濡れた体を

あたためる


寒い唇

ぶるぶると


白い指先

わなわなと


アイスのように

溶けていく


灼けた地面に

くっつけた


お臍の芯が

あたたかい


手足の先が

少しずつ


人のかたちに

生き返る


耳をすませば

人びとの


遠く聞こえる

はしゃぎ声


瞼とじれば

ぐるぐると


入道雲が

動き出す


遠い宇宙の

彼方から


こんな恵みを

ありがとう


日差しはいいな

あたたかい


灼けた地面に

耳をつけ


大地の鼓動

伝え聞く


忘れたころに

するすると


熱い耳から

流れ出る水


        (了)

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