第5話 お仕事って何するの?
「それなら、さっそくだが屋敷の仕事について説明する。」
サンドレス様が真剣な表情でこちらを向く。
「は、はい。」
ごくりと息をのむ。
「居るだけでいい。」
「え?」
理解が追い付かなかった。どういうこと?なにもするなってこと?
しかしアースランドさんがしっかり説明してくれた。
「天狐ちゃんはね、そこにいるだけで十分なんだよ。高濃度の魔力が出てるからね、それが結界になってるんだよ。それで魔物は逃げていくの。」
「そ、そうだったんですか。」
だ、だから獲物がすぐ逃げていくから狩りが大変だったんだ。森の中だったし派手な魔法は使えなかったし。勉強になった。確かにしっぽの本数によって魔力の圧が変わるけどさ。前まで普通に九本出して生活してたっけ、禍々しく思われていたとか?のんきな狐すぎる。
「え、もしかして今まで気付かなかったの?」
「き、気づきませんでした。」
もしかして恐れられていた原因ってこれ?なんてことだ。
「結構抜けてるところあって可愛いね!」
それは可愛いなのかな。
「いや、それは問題だろ。」
サンドレス様が突っ込む。
「そ、そうですよね。」
「まぁでも私が屋敷を留守にする時があるからに戦える者がいると安心できるのでね」
「ほ、他に戦えるかたはいないんですか?騎士の方々とか…」
「んー。俺より戦える奴はいないからなー。」
それはそうだよ。見た感じあなたかなり強いほうだよね。
「そ、それは基準値が壊れているのでは…」
「いや、俺より強いやつなどたくさんいる。念には念をかけておきたくてな。」
「まぁ、そう、ですよね。あったことには越したことはないですけど。」
「あ、あと、一応僕の試験はやっておいたいいんじゃ、実力試験みたいなものとか…」
「うーん、いらないだろう。ドラゴンにも勝てるってのはもうそれは世界の頂点だぞ?戦う必要なんてないだろ。」
「そ、そうかもしれないですけど…」
「大丈夫だ、それに、その特殊な眼があれば大丈夫だろ。」
「?えっと、眼のことわかるんですか?」
「いや、わからん。ただ魔眼の部類か何かだろう。一般人には何も感じないようになってるが戦闘経験があるものが見れば恐れてしまうだろうな。」
わかってるんだ、すごいなぁ。
「せ、戦闘向きの眼ではあります。」
「とりあえず、よろしく頼むぞ。」
「は、はい。」
初対面の人をそんなに信用するものなのかな。
まぁでも、屋敷にいるだけでいいなら楽か。
それにしてもメイドかぁ、何するんだろう。作法とかあるのかな?
お料理したりとか?洗濯もあるなぁ、掃除もだっけ?
「ええと、さっきのお話でメイドについてですけど、何すれば、いいですか?」
疑問があったので仕事内容を聞いてみるとアースランドさんが言葉を発する。
「じゃあ天狐ちゃんは私の部屋の掃除担当ね!決まり!」
「え?」
反論する余地もなく仕事が割り振られるのであった。
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